(石川れい子 ライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
主としてネッタイシマカAedes aegyptiによって媒介されるウイルスによって起こる感染症。ウイルスは長さ15~33nmのフラビウイルスで,潜伏期5~8日の後,突然の高熱,悪寒,激しい頭痛,背や四肢の疼痛で発症する。とくに筋痛や関節痛がひどいために骨折熱breakbone feverとか,関節痛によって〈気どった〉歩き方になるため〈だて者熱dandy fever〉などともいわれる。発熱は2~3日続き,いったん下熱した後,2日ほどして再び発熱する2相型を示し,数日後に分利下熱(大量の発汗を伴って急速に下熱すること)するが,病型によっては2相型を示さないものもある。第2回目の発熱に合わせて,四肢や背,頸部に猩紅熱様,麻疹(はしか)様の発疹がみられ,溢血(いつけつ)斑がみられることがある。とくに子どもでは内臓にも出血し,ショックに陥ることもある。検査ではタンパク尿,白血球減少,好中球の減少などがみられるが,病原ウイルスの分離は容易ではない。一般に予後は良好で,生命にかかわることはほとんどないが,原因療法はなく,治療は痛みや発熱,あるいはショックに対する対症療法による。
執筆者:川口 啓明
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(2014-8-29)
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