ハギ(萩)【ハギ】
マメ科ハギ属のうち,ふつうヤマハギ類の数種の総称。落葉低木または草本。東アジア,北米に分布。葉は有柄で,3枚の同形の小葉からなり,花は葉腋から出た総状花序につき,花冠は蝶(ちょう)形,紅紫色または白色でときに黄色を帯びる。閉鎖花をつけるものもある。花の美しいのは東アジアの種類に限られる。秋の七草の一つ。古くから日本人に愛され,和歌や俳句によまれている。観賞用のほか,砂防用として道路わきの斜面などに植えられる。ヤマハギは山地に最も普通の種類で,花は紅紫色,萼(がく)の裂片は短い。公園や庭園によく見られるミヤギノハギは,日本海沿岸の山地にはえるケハギから園芸化されたもの。花が紅紫色ときに白色で長さ約1.5cm,萼は5裂し,裂片は萼筒より長くて先がとがる。ほかにニシキハギ,ツクシハギなどがある。
→関連項目万葉植物
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ハギ(萩)
ハギ
Lespedeza bicolor
マメ科の落葉低木で,ヤマハギともいう。各地の山野に普通に生える。細い枝を多数分枝し,高さ 2mほどになり,枝には細毛がある。葉は長い葉柄をもつ3出複葉で,小葉は長さ2~4cmの広楕円形ないし広倒卵形で先端は円形でややくぼむ。秋に,小枝の葉腋から多数の総状花序を出し,紅紫色の蝶形花をつける。果実は平たい楕円形の莢果で,中に種子1個を生じる。ハギ属はアジア,オーストラリアおよびアメリカ大陸に分布し,数十種が知られる。日本にも 10種以上あり,ミヤギノハギ (宮城野萩),マルバハギ,ネコハギ (猫萩),イヌハギ,メドハギ (目処萩)などはよく知られている。ハギは古くから日本人に親しまれている植物の1つで,秋の七草にも数えられている。萩という字は,本種が秋に花を咲かせる代表的なものを示すため,秋の字の上に草冠をつけたもので,中国の萩という漢字とはまったく別の意味である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報