パーパオファン(読み)ぱーぱおふぁん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーパオファン」の意味・わかりやすい解説

パーパオファン
ぱーぱおふぁん / 八宝飯

中国料理の一種。筵席(イエンシー)(宴会席)の献立のなかに入れるにふさわしい豪華な点心(てんしん)である。糯米(もちごめ)飯(おこわ)を種々の蜜果(ミークオ)で美しく飾ったもので、蜜果は果実の砂糖漬けで、たとえば蜜棗(ミーツアオ)(ナツメ)、糖梅(タンメイ)(ウメ)、糖蓮子(タンリエンツ)(ハスの実)、干葡萄(カンブータオ)(ブドウ)、糖桂花(タンコイホワ)(モクセイの花)などがある。日本でつくるときは、ぎんなん砂糖煮、栗蜜煮(くりみつに)、甘納豆(あまなっとう)、干し柿(がき)、ミカンなどがよい。

 作り方は、糯米を水に浸して十分水を吸わせてから、日本のおこわのように蒸すか、あるいはすこし固めに湯炊きしてもよい。熱いうちにラード、砂糖を加えてよく混ぜ合わせる。小豆(あずき)の漉(こ)し餡(あん)の中に豚の脂身、黒こしょう、砂糖を入れて練り合わせる。大形の丼(どんぶり)の内側に薄くラードを塗り、それぞれ適宜の大きさに切った蜜果を、彩りよい模様になるように、丼の内面にぴっちり並べつけ、糯米飯をすこしずつ中に詰めて蜜果を支える。丼の縁まできっちり蜜果と糯米飯を入れたら、中央にくぼみをつくって前記の餡を入れ、糯米飯で覆い、かぶせ蓋(ぶた)をして蒸籠(せいろう)に入れて蒸す。中まで熱くなったころ、皿に逆さにあける。そのとき美しい模様が出るとよい。熱いうちに、甘い杏仁湯(シンレンタン)(杏仁水かたくり粉とろみをつけたもの)をかける。上にかけるのは透明な葛汁(くずじる)だけのほうが、模様がよく見えて美しい。

[野村万千代]

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