ブランデー(英語表記)brandy

翻訳|brandy

デジタル大辞泉 「ブランデー」の意味・読み・例文・類語

ブランデー(brandy)

果実酒、ぶどう酒蒸留し、貯蔵熟成した洋酒。アルコール分40~45パーセント。フランスコニャックなど。
[類語]酒類さけるい酒類しゅるい般若湯アルコール御酒お神酒銘酒美酒原酒地酒忘憂の物醸造酒蒸留酒混成酒合成酒日本酒清酒濁酒どぶろく濁り酒生酒新酒古酒樽酒純米酒灘の生一本本醸造酒吟醸酒大吟醸冷や卸し屠蘇とそ甘露酒卵酒白酒甘酒焼酎泡盛ビール葡萄酒ワインウイスキーウオツカラムテキーラジン焼酎リキュール果実酒梅酒薬酒やくしゅみりん白酒しろざけ紹興酒ラオチューマオタイチューカクテルサワージントニックジンフィーズカイピリーニャマティーニ

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精選版 日本国語大辞典 「ブランデー」の意味・読み・例文・類語

ブランデー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] brandy ) 果実酒、特に白ブドウ酒を蒸留して製する洋酒。フランスのコニャックが有名。ブランデー酒。
    1. [初出の実例]「『ウイスキー』『ブランデイ』など云へる酒は、至て強くして」(出典:西洋衣食住(1867)〈福沢諭吉〉食)

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改訂新版 世界大百科事典 「ブランデー」の意味・わかりやすい解説

ブランデー
brandy

ブランデーは,〈焼いたブドウ酒〉の意のオランダ語のbrandewijnやフランス語のvin brûléに由来する。したがって,本来はブドウ酒を蒸留してつくるグレープブランデーのことで,他の果実酒を蒸留したフルーツブランデーはそれぞれ原料果実名を冠して呼ぶ。ブランデーはふつう白ブドウ酒を単式蒸留機で2回蒸留してアルコール分63%内外のスピリッツをとり,これをオークの樽で熟成させる。初めは無色で香味の粗かったものが,こはく色に色づき,味はまろやかになり芳香を生じてくる。こうして熟成したものを年数の違うもの,違う樽のものなどをブレンドして一定の規格のものとし,水を加えてアルコール分を40~43%に薄めて製品とされる。一般に熟成年数の多いものほど美味で,価格も高い。製品はふつうブレンドした原酒のうちの最も古いものの熟成年数をラベルに表示する。表示方法は銘柄によって異なるが,三つ星(スリースター)で3~5年,VSOP(very superior old pale)で10年内外,XO(extra old)あるいはナポレオンNapoléonで20年内外,エキストラExtraで30年以上など記号や略称で区別される。また,ブレンドされる原酒は最も若いものでも1年半以上の熟成が必要とされ,4年半以下のものが入っている場合は三つ星,4年半以上ならVSOP,それ以上のクラスでは5年半以上のものでなければならないとされている。

 ブランデーはたいていのブドウ酒産出国でつくられているが,その中で最も高い評価を受けているのはフランスのコニャックで,アルマニャックがこれに次ぐ。これらは特定の産出地域で一定の規格を満たした製品のみに使用が許された呼称で,他のフランス産ブランデーはフレンチブランデーと呼称している。フランス以外のものでは,ドイツのアスバッハ,イタリアのストック,スペインのファンダドール,ギリシアのメタクサなどが日本でもよく知られた銘柄である。このほか,ブドウ酒用の果汁をとったあとの搾りかすを蒸留してつくるかすブランデー,ブドウ酒のおりでつくるリーズブランデー,干しブドウからつくった酒を蒸留するレーズンブランデーなどがある。これらの中ではかすブランデーが重要で,フランスではマールと呼ばれ,オーク樽で熟成するが,イタリアのグラッパと呼ぶかすブランデーは樽熟成を行わず,無色のままである。

アップルブランデーリンゴ酒シードル)を蒸留するもので,フランスのノルマンディー地方に産するカルバドスが有名である。イギリスのブリストル地方やアメリカのニューイングランドもアップルブランデーを産出し,アメリカではアップルジャックと呼ぶ。その他のフルーツブランデーの多くは無色で,ホワイトブランデーともいう。サクランボを原料としたものはチェリーブランデー(リキュールにも同名のものがあるが別種),ドイツ語ではキルシュまたはキルシュバッサーといい,ドイツ,フランス,スイスなどで産出する。プラムを原料とするプラムブランデーは産地によって原料の品種が異なるので,製品の香味に違いがある。フランスのミラベルは黄色種,スイスやドイツのクエッチュは黒色種が用いられる。スリボビッツユーゴスラビアオーストリアチェコスロバキア,ブルガリアなどでつくられるプラムブランデーで,赤いプラムを原料とすることが多い。ラズベリーを用いるフランボアーズや,セイヨウナシ,アプリコットを原料とするものもあり,日本ではミカンブランデー,メロンブランデーなどもつくられている。
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百科事典マイペディア 「ブランデー」の意味・わかりやすい解説

ブランデー

果実から作った蒸留酒の総称。原料果実の種類によりグレープブランデー,アップルブランデー(カルバドスなど),チェリーブランデー(キルシュなど)などに分けられるが,普通はグレープブランデーをさす。白ブドウ酒を単式蒸留機で2回蒸留してアルコール分63%前後のスピリッツをとる。これをカシ樽(だる)に入れて数年から数十年熟成させると,こはく色に色づき,芳醇な香りを生ずる。熟成年数の違うものをブレンドし,水を加えてアルコール分40%前後とし,しばらくなじませてから製品にする。ブレンドする原酒のうち古いものの熟成年数によりラベルに等級を表示するのが普通で,表示方法は銘柄により異なるが,スリースターで3〜5年,VSOP(very superior old pale)で10年内外,XO(extra old),ナポレオン,Extraはそれ以上となっている。 フランスが質,量ともに世界一の生産国で,中でもコニャック地方とアルマニャック地方が双璧とされ,一定の規格を満たしたものしかその名を冠することができない。他のフランス産ブランデーはフレンチブランデーと呼ばれる。このほか,ドイツ,イタリア,スペインなどでも良質のブランデーが作られている。また,ブドウ酒用の果汁をしぼった残りかすを再発酵させ蒸留したブランデーも各国で作られ,フランスのマールやイタリアのグラッパが知られている。→コニャックアルマニャック
→関連項目アレキサンダーカクテルサイドカー(カクテル)

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飲み物がわかる辞典 「ブランデー」の解説

ブランデー【brandy】


果実を発酵させ、この発酵液(醸造酒)を蒸留し、樽などで熟成させてつくる蒸留酒。一般に、ぶどうを原料としたものをいい、フランス産のコニャックアルマニャックが知られる。コニャックやアルマニャックには、熟成年度によって、VO、VSO、VSOP、ナポレオン、XOなどの等級がつけられている。ブランデーグラスと呼ばれる、大型でチューリップ形のグラスに少量ずつ注ぎ、グラスをゆっくり回しながら手で温めて香りを立て、香りを楽しみながら飲む。ぶどう以外の原料を用いるものには、「アップルブランデー」「プラムブランデー」などがある。アルコール度数は40~50度。また、ブランデーではないが、果実を用いたリキュールを、同様に果物の名を前に付けて「ピーチブランデー」「アプリコットブランデー」のようにいうことがある。◇オランダ語で「焼いたワイン」という意の「ブランデウェイン(brandewijn)」が語源とされる。

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とっさの日本語便利帳 「ブランデー」の解説

ブランデー

ブドウを発酵・蒸留した酒。果実を主原料とする蒸留酒すべてを指すこともある。ブドウ原料の代表格が、フランス西部シャラント川沿いが産地のコニャック(単式蒸留器で二回蒸留)と、南西部のピレネー山脈近くが産地のアルマニャック(連続蒸留器または単式蒸留器で二回蒸留)。風土や熟成法が違うため味わいも異なる。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

栄養・生化学辞典 「ブランデー」の解説

ブランデー

 ブドウ酒やリンゴ酒,モモ酒などを蒸留し,樫の樽に貯蔵して熟成させた酒.

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世界大百科事典(旧版)内のブランデーの言及

【コニャック】より

…フランス産ブランデーの一種。ブランデーの同義語として使われることが多いが,本来はフランス南西部のコニャック市を中心とするシャラント県とシャラント・マリティーム県にまたがる地域内で,一定の規格のもとに造られたブランデーのみに与えられる呼称である。…

【蒸留酒】より

…穀類や果実などを原料とし,これらを発酵,蒸留してつくった酒。ビールや白ブドウ酒の発酵液(もろみ)を蒸留したものが,それぞれモルトウィスキーやブランデーであるように,伝統的醸造酒には対応する蒸留酒がある。 形状からみて,蒸留に使われたと思われる土器は,紀元前3000年ころのメソポタミア文明の遺跡から出土しているが,ブドウ酒の蒸留を記録したのはアリストテレス(前384‐前322)がはじめである。…

【中国酒】より

…(7)その他 ここに区分されるものはおもに外国起源の酒で,洋酒としている文献もある。白蘭地(ブランデー),威士忌(ウィスキー),金酒(ジン),俄斯克(ウォッカ),蘭母酒(ラム)などで,これらのうち烟台の金奨白蘭地は歴史も古く,全国名酒に数えられている。【鈴木 明治】。…

※「ブランデー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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