一筋(読み)ヒトスジ

デジタル大辞泉 「一筋」の意味・読み・例文・類語

ひと‐すじ〔‐すぢ〕【一筋/一条】

[名]
細長い物の1本一条。「―の髪の毛」「―伝わる涙」
一門一族
多くはただこの九条殿の御―なり」〈大鏡師輔
[形動][文][ナリ]
ただ一つのことに心を傾けるさま。「芸―に生きる」
普通の程度であるさま。ひとかた。並大抵。
「鵜舟さす夜河のた縄うちはへて―ならずものぞ悲しき」〈新千載・雑上〉
[類語]いちずひたすらひたむきただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らずまっしぐらしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中直線的専心専念没入没頭没我傾注傾倒猪突猛進ストレート我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一筋」の意味・読み・例文・類語

ひと‐すじ‥すぢ【一筋・一条】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 糸や竹などのような細く長いものの一本。また、よどみなく一つに続くもの、細長く続くもの。一条(いちじょう)
      1. [初出の実例]「もとひかるたけなむ一すちありけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「彼女の最後の一すぢの希望までも滅ぼすもの」(出典:冬の宿(1936)〈阿部知二〉三)
    2. 一門。一族。
      1. [初出の実例]「多くは、ただこの九条殿の御一すぢなり」(出典:大鏡(12C前)三)
    3. 一芸。一道。
      1. [初出の実例]「無能無才にして此一筋につながる」(出典:俳諧・幻住菴記(1690頃))
    4. 銭差し一本の銭。銭百文。〔女重宝記(元祿五年)(1692)〕
    5. ひとすじなわ(一筋縄)」の略。
      1. [初出の実例]「左平次もひとすじではいかぬやう」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)八)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 普通なさま。尋常なさま。一様なさま。
      1. [初出の実例]「ひとすぢにかよひてなんありける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
    2. 一つに集中するさま。また、気持をほかの方へは向けず一つのことだけをするさま。いちずなさま。
      1. [初出の実例]「水なしの池〈略〉出づるをりもあるを、一すぢにもつけけるかな」(出典:枕草子(10C終)三七)
      2. 「一筋な心から其恨で有ふの」(出典:浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)中)
    3. 滞りなく進行するさま。また、よどみなく一つに続くさま。
      1. [初出の実例]「ひとすぢに世のうつりかはりおとろへくだることわり」(出典:愚管抄(1220)三)

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