神経や筋肉、血液など体のさまざまな組織や細胞になる能力がある細胞。受精卵の一部を取り出して作る胚性幹細胞(ES細胞)や、京都大の
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人体のどの組織にもなる能力をもった細胞で、再生医療のキーポイント。万能細胞の作製は、1998年にアメリカ・ウィスコンシン大学グループが受精卵の途中段階を操作してつくりだした胚(はい)性幹細胞(ES細胞)が最初であるが、2007年(平成19)11月、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥(しんや)(1962― )らが、人の皮膚細胞から、受精卵を使わない人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製に成功したと国際誌『セル』Cellに発表し、万能細胞を使った再生医療がにわかに現実味を増してきた。受精卵や卵子の応用には宗教界などからの強い批判があり、アメリカ政府は研究費の支出を拒否しているが、山中らは普通の皮膚や関節内細胞を万能細胞に変え、垣根を越えた。再生医療の実現が近づいた分、世界的な研究競争が加速している。日本の研究が世界をリードし続けるには、突出した少数の研究者だけでは重荷で、幅広い分野での技術力の向上が重要であろう。
[田辺 功]
(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)
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