三神山(読み)サンシンザン

デジタル大辞泉 「三神山」の意味・読み・例文・類語

さん‐しんざん【三神山】

中国の古伝説で、東方絶海の中にあって仙人が住むという蓬莱ほうらい方丈瀛州えいしゅう三つの山。

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精選版 日本国語大辞典 「三神山」の意味・読み・例文・類語

さん‐しんざん【三神山】

  1. [ 一 ] 中国の伝説で、東方絶海の中央にあって仙人が住むという蓬莱(ほうらい)・方丈・瀛州(えいしゅう)の三つの山の称。三島。三壺山。
    1. [初出の実例]「あそこなる山を日の照すは、定てあれこそ三神山の仙境でこそあるらめと思て」(出典:四河入海(17C前)一九)
    2. [その他の文献]〔史記‐封禅書〕
  2. [ 二 ] 画題として、富士・熊野熱田の三山をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三神山」の意味・わかりやすい解説

三神山
さんしんざん

中国の伝説上の神山渤海(ぼっかい)湾中にあるといわれる蓬莱(ほうらい)山、方丈(ほうじょう)山、瀛洲(えいしゅう)山の三山をいう。その発生には、蜃気楼(しんきろう)説、山岳信仰説など諸説がありはっきりしないが、戦国時代(前5~前3世紀)の燕(えん)、斉(せい)の国の方士(ほうし)(神仙の術を行う人)によって説かれ、そこには仙人が住み、不老不死の神薬があると信じられた。戦国末期の燕、斉の諸王や秦(しん)の始皇帝(しこうてい)、あるいは漢の武帝(ぶてい)などが使者を出して海上にその神山を探させ、不死の薬を得ようとした。伝説によると、三神山は海岸から遠く離れてはいないが、人が近づくと風や波をおこして船を寄せつけず、建物はことごとく黄金や銀でできており、すむ鳥獣はすべて白色であるという。こうした記事は司馬遷(しばせん)の『史記』封禅書(ほうぜんしょ)に詳しく記されており、それは神仙説についての最古の記録とされる。しかし後世では説話のなかに伝承されて、むしろ神仙境の象徴的存在となっている。一説に、戦国時代における海上交易の盛行を裏づけるものともいわれる。

[山田利明]

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改訂新版 世界大百科事典 「三神山」の意味・わかりやすい解説

三神山 (さんしんさん)
Sān shén shān

中国,渤海にあったという伝説上の神山--蓬萊(ほうらい),瀛洲(えいしゆう),方丈(方壺)を指し,仙人たちが住み,不老不死の薬があるという。いずれも壺の形をしているので〈三壺山〉ともいわれる。先秦時代,渤海沿岸の燕や斉の方士(神仙の術を行う人)たちが唱え,秦の始皇帝や漢の武帝らの心をつかんだ。《史記》封禅書や《列子》湯問篇等には,華麗な御殿のたつ仙郷を記すが,実は蜃気楼の発生と関係するらしい。歴代,宮中の池や上元節の山車(だし)等に,三神山が作られた。
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百科事典マイペディア 「三神山」の意味・わかりやすい解説

三神山【さんしんさん】

中国伝説で想像上の山。瀛州(えいしゅう),方丈(方壺),蓬莱(蓬莱山)の3山。〈三壺山〉とも。渤海にあり,仙人が住み,仙薬があると信じられた。《列子》によると,5山(岱輿(たいよ),員【きょう】(いんきょう),方壺,瀛州,蓬莱)が海に浮かんでいて,15匹の大亀にささえられ,のち2山が流失したと伝える。戦国末から漢代には,方士で三神山を求める者が多かったという。
→関連項目徐福

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三神山」の意味・わかりやすい解説

三神山
さんしんざん
San-shen-shan

中国古代において,海上にあると信じられた伝説上の3つの山。『史記』封禅書などによれば,蓬莱 (蓬莱山 ) ,方丈,瀛州 (えいしゅう) の三山をさし,山東省東北沿岸から渤海にかけて浮ぶ島と伝えられていたが,前2世紀頃になると,南に下って,現在の黄海の中にも想定されていたらしい。三神山には仙人と不死の薬があり,宮殿は金銀造だといわれた。2世紀以降では三神山は五山に発展し,上帝がつかわした 15匹のカメが浮動する神山を支えているという話までつけ加わった。

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世界大百科事典(旧版)内の三神山の言及

【仙人】より

…たとえば《荘子》にひんぱんにあらわれる〈神人〉〈真人〉〈至人〉など,また《山海経(せんがいきよう)》には〈不死の薬〉〈不死の民〉〈不死の国〉〈不死の山〉などに関する伝説が語られている。《史記》封禅書によれば,戦国時代,東方沿海地域の方士たちは,東海中の蓬萊,方丈,瀛洲(えいしゆう)とよばれる三神山は仙人の住まうところであって,そこには不死の薬が存在するとさかんに宣伝し,三神山の信仰は秦の始皇帝や漢の武帝にうけつがれた。漢代には黄帝が仙人となって昇天したとか,老子は永遠に存在しつづけてその変化身が何度も世にあらわれるなどの伝説も生まれた。…

【蓬萊山】より

…中国,神仙思想で説かれる三神山の一つ。起源的には,戦国時代に渤海(ぼつかい)沿岸に位置する斉・燕2国の方術者たちが,蜃気楼(しんきろう)現象と神仙説とを付会して唱え始めたものである。…

※「三神山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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