中国の伝説上の神山。渤海(ぼっかい)湾中にあるといわれる蓬莱(ほうらい)山、方丈(ほうじょう)山、瀛洲(えいしゅう)山の三山をいう。その発生には、蜃気楼(しんきろう)説、山岳信仰説など諸説がありはっきりしないが、戦国時代(前5~前3世紀)の燕(えん)、斉(せい)の国の方士(ほうし)(神仙の術を行う人)によって説かれ、そこには仙人が住み、不老不死の神薬があると信じられた。戦国末期の燕、斉の諸王や秦(しん)の始皇帝(しこうてい)、あるいは漢の武帝(ぶてい)などが使者を出して海上にその神山を探させ、不死の薬を得ようとした。伝説によると、三神山は海岸から遠く離れてはいないが、人が近づくと風や波をおこして船を寄せつけず、建物はことごとく黄金や銀でできており、すむ鳥獣はすべて白色であるという。こうした記事は司馬遷(しばせん)の『史記』封禅書(ほうぜんしょ)に詳しく記されており、それは神仙説についての最古の記録とされる。しかし後世では説話のなかに伝承されて、むしろ神仙境の象徴的存在となっている。一説に、戦国時代における海上交易の盛行を裏づけるものともいわれる。
[山田利明]
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…たとえば《荘子》にひんぱんにあらわれる〈神人〉〈真人〉〈至人〉など,また《山海経(せんがいきよう)》には〈不死の薬〉〈不死の民〉〈不死の国〉〈不死の山〉などに関する伝説が語られている。《史記》封禅書によれば,戦国時代,東方沿海地域の方士たちは,東海中の蓬萊,方丈,瀛洲(えいしゆう)とよばれる三神山は仙人の住まうところであって,そこには不死の薬が存在するとさかんに宣伝し,三神山の信仰は秦の始皇帝や漢の武帝にうけつがれた。漢代には黄帝が仙人となって昇天したとか,老子は永遠に存在しつづけてその変化身が何度も世にあらわれるなどの伝説も生まれた。…
…中国,神仙思想で説かれる三神山の一つ。起源的には,戦国時代に渤海(ぼつかい)沿岸に位置する斉・燕2国の方術者たちが,蜃気楼(しんきろう)現象と神仙説とを付会して唱え始めたものである。…
※「三神山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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