世に無し(読み)よになし

精選版 日本国語大辞典 「世に無し」の意味・読み・例文・類語

よ【世】 に 無(な)

① 世の中にない。世に存在しない。また、亡くなってしまっている。
平中(965頃)二五「さらば、これは志賀の人なるべし、と思ふに、よになき心地しければ、さにやと問ひけるに」
② この世にまたとない。世の中に比べるものがない。非常にすぐれている。
※竹取(9C末‐10C初)「この児のかたちのけそうなる事世になく」
③ 世に用いられない。時勢に合わない。世に入れられず零落している。また、世間に出ない。世間から退いている。
源氏(1001‐14頃)蓬生「それもよになきふるめき人にて同じき法師といふなかにも、たづきなく、この世を離れたる聖にものし給て」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「世に無し」の意味・読み・例文・類語

・し

この世に存在しない。死んでこの世にない。
「故按察大納言は、―・くて久しくなり侍りぬれば」〈若紫
世の中に二つとない。比べるものがないほどすぐれている。
「―・く清らなる、玉のをのこ御子さへ生まれ給ひぬ」〈桐壺
世の中に認められない。世間で栄えていない。身分が低い。
「―・きものを思ひそめて」〈平家・一〇〉
世間に出ない。身を隠している。
妹背いもせ情けこまやかに―・き景清をいとほしみ」〈浄・出世景清

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