借地借家法(読み)シャクチシャクヤホウ

デジタル大辞泉 「借地借家法」の意味・読み・例文・類語

しゃくちしゃくや‐ほう〔‐ハフ〕【借地借家法】

借地権および建物賃貸借契約の更新などについて規定するとともに、借地条件の変更などの裁判手続きに関する事項を定める法律。平成3年(1991)借地法借家法統合改正して制定

しゃくちしゃっか‐ほう〔シヤクチシヤクカハフ〕【借地借家法】

しゃくちしゃくやほう(借地借家法)

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共同通信ニュース用語解説 「借地借家法」の解説

借地借家法

土地や建物の賃貸借で、貸し手に比べ弱い立場になりがちな借り手の保護を目的とする。借地に家を建てた住人が契約更新を求めた場合、所有者はその土地をどうしても自分で利用する必要があったり、十分な立ち退き料を支払ったりするなどの事情がなければ拒否できない。建物の賃貸借でも、大家が契約満了の6カ月前までに、正当な事由によって更新しないことを通知しなければ、そのまま更新される。

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精選版 日本国語大辞典 「借地借家法」の意味・読み・例文・類語

しゃくちしゃっか‐ほう‥シャクカハフ【借地借家法】

  1. 〘 名詞 〙 借地権の効力・更新や、建物の賃貸借契約の更新などについて規定した法律。従来の借地法・借家法・建物保護法の三法を統合して平成三年(一九九一)に制定、翌年施行。この法律で定期借地権が新設された。

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百科事典マイペディア 「借地借家法」の意味・わかりやすい解説

借地借家法【しゃくちしゃっかほう】

従来の借地法借家法建物保護法を統合し,あわせて大幅な内容的改正を施した法律(1991年公布,1992年施行)。旧3法が手厚く保護していた借地人・借家人の権利がやや抑制されたほか,定期借地権自己借地権(土地所有者自らが取得する借地権)や期限付建物賃貸借(一定の期間経過後は正当事由の判断なしに建物の明渡しが認められるというもの)などが新設された。また,新法制定に併せて民事調停法の一部も改正され,賃料の増減額請求について調停前置主義が導入された。1999年の改正により定期借家権の制度も導入された。
→関連項目居住権地上権賃借権賃貸借民法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「借地借家法」の意味・わかりやすい解説

借地借家法
しゃくちしゃくやほう

土地や建物の賃貸借契約について定めた法律で、1991年(平成3)に成立。借地法、借家法は1921年(大正10)に制定され、以降4回改正されたが今回は41年(昭和16)改正以来の50年ぶりの大改正である。旧法では借り手側の権利に重点が置かれていた。それは戦時中の特殊事情(応召兵士の留守家族の住生活保護)を背景として弱者保護の制度として考えられたものだが、とくに借地については、借り手の既得権を保護するものとなっていた。そのため、本来は自由に行われるべき不動産賃貸借契約に対する強い制約となり、新規の賃借契約を抑制し、土地の高度利用を妨げるものになっていた。

 土地を資産として保有するメリットは、売りたいときに自由に売れることである。ところがこれまでは、いったん賃貸に出すと、事実上所有権を手放したのと同じことになるから、地主は土地を低度利用するか、あるいは空地のままにしておくほうが有利な場合も多く、その結果、賃貸用に供されないことになる。

 新法では貸し手側の権利が重視され、貸し手側の貸し渋りで起こる土地供給難の緩和を図るのが目的となっている。もっとも特徴的な点は、契約期限が過ぎたとき貸し手に土地が確実に戻る、貸借期間を一定期間に限った「定期借地権」を創設したことである。また、「借地権の存続期間は30年」とし、契約更新は最初の1回目は20年、2回目以降は10年と短い契約期間を定めている。契約更新時での貸し手の拒否の正当な事由も具体的で、例示が多くなっている。ただし、同法は法改正以前の既契約には適用されない。

[伊藤善市]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「借地借家法」の意味・わかりやすい解説

借地借家法
しゃくちしゃっかほう

平成3年法律 90号。借地・借家関係については,従来,建物保護ニ関スル法律借地法および借家法によって規制されてきたが,1991年の改正によりこれらが廃止されて新たに制定された。借地借家法は基本的には,旧来の建物保護法,借地法,借家法の規定を受け継いでいる。しかし,借地権の存続期間について堅固建物・非堅固建物の区別を廃止して法定存続期間を一律 30年とし,建物の朽廃による借地権消滅の制度を廃止したり,借地権・借家権の更新拒絶の要件として立退料の提供を認め,建物が滅失したときに掲示という一種の明認方法による借地権の対抗力の維持を認めたり,また地代家賃紛争の迅速な解決をはかるため調停前置主義 (民事調停法) を採用するなど,大幅な改正が行なわれている。さらに自己借地権,更新の保障のない「定期借地権」と「期限付建物賃貸借」に関する規定を新設した。ただしこの法律が適用されるのは新規契約に対してのみとされている。

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不動産用語辞典 「借地借家法」の解説

借地借家法

土地や建物を借りたり貸したりする場合の、貸主、借主の権利等が定められた法律を「借地借家法」といいます。
平成4年、借地法、借家法、旧法を廃止・統合することにより施行されました。これまでの借地法・借家法は、いずれも借り手側の保護に重点が置かれ、特に正当事由制度によって過度に借り手が守られていました。
その結果、一度貸したら二度と戻らないという意識が生まれ、土地活用が進まないという議論が活発化したため、貸し手を保護する定期借地権制度が盛り込まれた新借地借家法が誕生しました。
なお、この新法施行以前の土地・家屋に関しては、旧法が適用されます。

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改訂新版 世界大百科事典 「借地借家法」の意味・わかりやすい解説

借地借家法 (しゃくちしゃっかほう)

借地(しゃくち) →借家(しゃくや)

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世界大百科事典(旧版)内の借地借家法の言及

【借地】より

…その後いわゆる小作人の保護という観点から,農地調整法(1938公布)等の特別法が制定された。そして現在ではそれらは借地借家法の対象とはされておらず,前記の特別法を集大成した農地法によって規定されている。また,植林のために他人の土地を利用することを借地林業と呼ぶが,植栽から伐採まで数十年が必要とされ,地代は伐採した木材価格の一定割合を受けとるというかたちをとるなど,普通の借地とは相当異なる。…

【借家】より

…借家関係を規律する法律として借家法(〈しゃっかほう〉とも〈しゃくやほう〉とも読む。1921公布)があったが1991年に借地借家法に統合された。民法は,借家を,借地,小作などといっしょに賃貸借として規定したが(民法601~622条),その後賃借人の保護の必要が唱えられ,1921年借地法と並んで借家法が制定され,41年,66年の改正を経たあと,91年に借地法と統合され,借地借家法となった。…

※「借地借家法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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