凄い(読み)スゴイ

デジタル大辞泉 「凄い」の意味・読み・例文・類語

すご・い【凄い】

[形][文]すご・し[ク]
ぞっとするほど恐ろしい。非常気味が悪い。「―・い目でにらむ」
びっくりするほど程度がはなはだしい。並外れている。大層な。「―・い人気」「―・いプレー」「―・い秀才」「―・い散らかりよう」→凄く補説
[派生]すごさ[名]すごみ[名]
[用法]すごい・ひどい――「すごい(ひどい)嵐」「すごい(ひどい)寒さ」「すごく(ひどく)速い」など、はなはだしいの意では相通じて用いられる。◇「すごい」は俗語的な言い方で、「すごく険しい」「すごくおいしい」「すごく悪い点数」など副詞的に幅広く用いられる。また「すごい評判だ」「すごいあばら家」などプラス、マイナス両面の評価に使う。◇「ひどい」は「ひどい人」「ひどい仕打ち」「ひどいことを言う」のように、マイナス評価について用いられる。◇俗に連体形を副詞的に用いて「すごいおもしろい人だ」のような言い方もある。
[類語](2ひどい激しいきつい厳しいとても非常大層大変異常極度けた外れ桁違い並み外れ格段著しい甚だしいものすごい計り知れない恐ろしいえらい途方もない途轍とてつもないこの上ない筆舌ひつぜつに尽くしがたい言語げんごに絶する言語ごんごに絶する並並なみなみならぬ極めて至って甚だすこぶ至極しごくごくいとも実にまことに大いにいたく・ひどく・恐ろしくものすごく滅法めっぽう凄まじい強いどぎつい手ひどい手厳しい辛辣猛烈痛烈強烈苛烈熾烈しれつめためた一方ひとかたならずさんざっぱらさんざんさんざこってりめちゃくちゃめちゃめっちゃ底抜け恐るべきこよなく殊の外ひときわ特段度外れ法外べらぼうとんでもない類がない比類ない無上よっぽど度が過ぎる行き過ぎどえらい飛び切り段違い圧倒的かけ離れる

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精選版 日本国語大辞典 「凄い」の意味・読み・例文・類語

すご・い【凄】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]すご・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 心に強烈な戦慄(せんりつ)や衝撃を感じさせるような、物事のさまをいう )
  2. ぞっとするほど恐ろしい。気味が悪い。鬼気迫るようである。
    1. [初出の実例]「かの物におそはれし折思し出でられて、荒れたる様は劣らざめるを、程のせばう、人気のすこしあるなどになぐさめたれど、すこう、うたていざとき心地する夜の様なり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
    2. 「山下(ふもと)を行く道の傍一所の墓地あり。化人場頭樹木自ら木も殺気(スゴ)くて」(出典読本・英草紙(1749)二)
  3. ぞっとするほどさびしい。荒涼とした感じで背筋が寒くなるほどである。
    1. [初出の実例]「なつなればすごくなくなるほととぎすほとほといもにあはできにける」(出典:赤人集(11C初か))
  4. ぞっとするほど美しい。戦慄を感じさせるようなすばらしい風情である。
    1. [初出の実例]「横笛を声のいづるかぎりふき給ふ。おもしろき折にあひて、あはれにすごう、これもよになくきこゆ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
  5. あまりにその程度がはなはだしくて、人に舌をまかせるほどである。
    1. [初出の実例]「次の日には空は些(いささか)の微粒物も止めないといったやうに凄(スゴ)い程晴れて」(出典:土(1910)〈長塚節〉一〇)
  6. ( 連用形を副詞的に使うことが多い ) 程度のはなはだしいことを表わす。たいへん。たいそう。とても。ふつう、口頭語として使われる。
    1. [初出の実例]「杜若(やまとや)の女清玄のすごく美麗(うつくしい)のを視様だらふと、それが楽しみだヨ」(出典:人情本・英対暖語(1838)五)
    2. 「ともかく、すごく苦しそうにうなっていたからね」(出典:森と湖のまつり(1955‐58)〈武田泰淳〉一六)

凄いの語誌

( 1 )平家物語」には、「幽」(四部本‐灌頂)、「孤」(百二十句本‐三)、「苦」(熱田本‐灌頂)を、それぞれ「スゴシ」と訓む例が見られる。しかし、「凄」を「スゴシ」と訓む例は、中世の作品には見出し難い。むしろ、「凄」は中世後期には「冷」等の漢字とともに「すさまじ」と訓まれている〔文明本節用集・温故知新書和玉篇〕。
( 2 )中世には、「すごし」の意義が「すさまじ」に接近していたところから、近世の辞書類になると、その「すさまじ」を媒介として、「凄」を「物スゴシ」〔希雅〕としたり「すごし」に「凄々の意也」〔和訓栞〕としたりするものが現われてくる。

凄いの派生語

すご‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

凄いの派生語

すご‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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