知恵蔵 「労働者派遣法改正案」の解説
労働者派遣法改正案
今回の改正案の柱は、業務による区別を無くし、無制限だった専門26業務の派遣期間を製造業と同じく上限3年にするという点。受け入れ企業が継続的に派遣社員を使うためには、全ての業務で3年ごとに対象社員を入れ替えなければならない。ただし、別の業務(部署)に異動する場合、あるいは過半数労組の同意を得られれば、3年を超えて同一派遣社員を使用することも可能。現在(14年)、派遣社員は全国約126万人で、このうち専門26業務は4割近く(約49万人)を占める。派遣社員にとっては原則3年で「雇い止め」になるが、他方、改正案では派遣事業者に「雇用安定措置」を義務付けている。3年に達した派遣社員に対して、派遣事業者は派遣先企業へ直接雇用を依頼する、新たな派遣先を紹介する、自社で無期限に雇用する、という雇用促進の措置を講じなければならない。また、派遣事業者は全て許可制となり、こうした義務を果たせない事業者には「事業認可の取り消しもある」(厚生労働省)という。
(大迫秀樹 フリー編集者/2015年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報