勘弁(読み)カンベン

デジタル大辞泉 「勘弁」の意味・読み・例文・類語

かん‐べん【勘弁/勘×辨】

[名](スル)
他人過失要求などを許してやること。堪忍。「今度だけは―してやる」「保証人になる話は―してもらった」
物事のよしあしをよく考えること。
心身の不完全は…其人の罪にあらざれば此辺の―最も大切なる事なり」〈福沢福翁百話
やりくりすること。算段
「所務の―上手の人なれば」〈甲陽軍鑑・三二〉
[類語]許可承知認可許諾承認認許允許いんきょ允可いんか容認許容聴許裁許免許公許官許許しオーケーライセンス容赦裁可特許宥恕黙許批准堪忍寛恕海容目こぼし見て見ぬふり(―する)許す認める見逃す見過ごす大目に見る目をつぶる

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精選版 日本国語大辞典 「勘弁」の意味・読み・例文・類語

かん‐べん【勘弁・勘辨】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物事の理非善悪をよく考えること。考えわきまえること。熟考すること。
    1. [初出の実例]「凡大宰府管内諸国嶋大帳。調帳。税帳。令府雑掌勘申。但筑前。筑後豊前豊後肥前。肥後等国。副当国雑掌。各得勘弁」(出典:延喜式(927)二二)
    2. 「先連歌をせんと思はば、前句を能々勘弁すべし」(出典:連歌比況集(1509頃))
  3. 物事をうまくやりくりすること。とくに経済的な面でのやりくり算段や計算についていう。
    1. [初出の実例]「此助兵衛は、損徳の考能して、山川迄も、所務の勘弁(カンベン)上手の人なれば」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品三二)
  4. 他人の誤りを許すこと。こらえること。勘忍。
    1. [初出の実例]「各かんへん有べし。拙者一人と余の医師十人がつり合ふ証拠で御座る」(出典:談義本・世間万病回春(1771)五)
    2. 「おめへにゃアいふことが沢山(どんと)あるが、此方ゃア勘弁(カンベン)して居てやるのだ」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)初)
    3. 「何を家来めが無調法を致しましたか存じませんが、当人に成り代り私がお謝罪(わび)申上ます。何卒御勘弁を」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一)
  5. 禅宗で、修行者力量素質を試験することにいう。
    1. [初出の実例]「入室々々と云は、学者を勘弁せうとてぞ」(出典:百丈清規抄(1462)二)
    2. [その他の文献]〔臨済録〕

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普及版 字通 「勘弁」の読み・字形・画数・意味

【勘弁】かんべん

ものごとを考え定める。宋・陸游蘭亭の序に跋す〕亭(帖)をること、當(まさ)に禪宗の如く勘辨すべし。門に入りて(すなは)ち了(をは)る。国語で、人の罪過をゆるして、問責しないことをいう。

字通「勘」の項目を見る

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