デジタル大辞泉
「十全」の意味・読み・例文・類語
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じゅう‐ぜん ジフ‥【十全】
〘名〙
① (形動)
欠点がないこと。完全であること。また、そのさま。万全。
※
田氏家集(892頃)中・奉酬傷菅侍医早亡詩「雨不
レ還
レ雲弓絶
レ弦、医門能事尽依然、十全歳後初麟角、百疾人間是乳泉」
※玉塵抄(1563)一四「日と星と十全にそなわらぬを云ぞ。いむ心ぞ」 〔
周礼‐
天官・
医師〕
② (形動) 全く危険がないこと。もっとも安全なこと。また、そのさま。
※
随筆・孔雀楼筆記(1768)三「即坐に拝味せば十全なるぞ」
③ (adaequatio の
訳語)
哲学で、完全に一致または適合すること。概念の指示するものの
本質を概念が完全に表わすとき、その概念をいう。
スコラ哲学では、
真理とは、
知性が
事物に完全に合致することにあるとする。
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普及版 字通
「十全」の読み・字形・画数・意味
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十全
じゅうぜん
哲学用語としては、ラテン語のアダエクアティオadaequatioないしそれに相当する近代ヨーロッパ語の訳語として、「完全」に相応することをいう。中世スコラ哲学で、真理が知性と事物の相応として定義されて以来、現代の確率論的発想に至るまで、十全の概念は多様な解釈を受けてきた。
[坂部 恵]
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