危うい(読み)アヤウイ

デジタル大辞泉 「危うい」の意味・読み・例文・類語

あやう・い〔あやふい〕【危うい】

[形][文]あやふ・し[ク]
危険が迫っている。あぶない。「―・いところを助かった」
危ない用法
気掛かりである。心もとない。不安だ。
「世のうけひくまじきことなれば、中々―・くおぼし憚りて」〈桐壺
[補説]中世以降、シク活用化した例やその口語形「あやうしい」の例も認められる。
「さはらば落ちん其の風情、しほらしくも又あやふしし」〈浄・井筒業平〉
[派生]あやうがる[動ラ五]あやうげ[形動]あやうさ[名]
[類語]危ない危険危難危機危地不用心ピンチ苦境窮地窮境窮状難局羽目危殆きたい虎口ここう不穏際どいやばいきな臭い呉越同舟一触即発風前のともしび薄氷をふむ風雲急を告げる物騒剣呑けんのん危なっかしい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「危うい」の意味・読み・例文・類語

あやう・いあやふい【危】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あやふ・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 危害が及びそうなさま。難に近づいているさま。危険が迫っているさま。あぶない。
    1. [初出の実例]「 臨危也 阿也不志」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
    2. 「雷火飫(おびたたし)う燃えあがって、宮中既にあやうく見えけるを」(出典:平家物語(13C前)一)
    3. 「ああ危かりし、若しも君が居らずば、我は打ち殺されしならん」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉五)
  3. (だめになりそうで)不安だ。気がかりだ。心配だ。
    1. [初出の実例]「然も縦(ゆるし)賜ひて国を合(あは)せても、後世に猶危(アヤふ)からむ」(出典:日本書紀(720)継体六年一二月(前田本訓))
    2. 「恋しくも、また、見ば劣りやせむとさすがにあやふし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  4. 望むことが、実現するかどうかわからない。確実ではない。あてにならない。
    1. [初出の実例]「平らかに帰りのぼらむ事もまことにあやうき有さまどもにて」(出典:平家物語(13C前)五)

危ういの語誌

→「あぶない(危)」の語誌。

危ういの派生語

あやう‐が・る
  1. 〘 動ラ五(四) 〙

危ういの派生語

あやう‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

危ういの派生語

あやう‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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