大地(読み)ダイチ

デジタル大辞泉 「大地」の意味・読み・例文・類語

だい‐ち【大地】

《古くは「だいぢ」》天に対する、地。また、広大な土地。「大地の恵み」「緑の大地
[補説]作品名・人工衛星は別項。→大地(作品名) →だいち(人工衛星)
[類語]土地土壌壌土土砂赤土黒土緑土黄土凍土ローム粘土陶土はに壁土アンツーカー腐植土腐葉土シルト残土地表地面地肌地べた地上地中地下

だいち【大地】[書名・絵画]

《原題The Good Earthパール=バック長編小説。1931年刊。1932年刊「息子たち」、1935年刊「分裂した家」とともに三部作「大地の家」を構成し、貧農の身から大地主になった王竜ワンロンとその一家の3代にわたる歴史を描く。
《原題、〈フランス〉La Terreゾラの長編小説。1887年刊。連作小説群「ルーゴンマッカール叢書」の第15巻にあたる。
《原題、〈イタリア〉La Terraアルチンボルドの絵画。「四大元素」と総称される寄せ絵の連作の一。板に油彩。縦70センチ、横49センチ。1566年制作。ウマ、ライオン、羊など、さまざまな動物で構成される。

だいち[人工衛星]

JAXA宇宙航空研究開発機構)が開発した陸域観測技術衛星の愛称。平成18年(2006)から平成23年(2011)まで5年3か月間運用され、全世界650万シーンを撮影。大規模災害の観測・情報提供、森林伐採監視・気候変動の影響監視などに成果をあげた。ALOSエイロス(Advanced Land Observing Satellite)。
[補説]後継機の「だいち2号」は平成26年(2014)5月に打ち上げられた。「だいち3号」は令和5年(2023)3月に打ち上げられたが、搭載されたロケットの不具合により、ロケットとともに指令破壊された。

おお‐つち〔おほ‐〕【大地】

だいち。土地が広大なことをいう語。
「―は採り尽くすとも世の中の尽くし得ぬものは恋にしありけり」〈・二四四二〉

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精選版 日本国語大辞典 「大地」の意味・読み・例文・類語

だい‐ち【大地】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 古くは「だいぢ」 )
    1. 天に対して、地を広くいう語。
      1. [初出の実例]「又虎の前に歩み近付く程に、大地震ひ動く、風の波を上ぐるが如し」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
      2. [その他の文献]〔勝鬘経‐摂受章〕
    2. 広い土地。土地の広いこと。
      1. [初出の実例]「大坂傾城の風儀をいふに、都をへだつる事一日にして、しかも繁昌の大地なれば」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一三)
      2. [その他の文献]〔商子‐農戦〕
  2. [ 2 ] ( 原題[英語] The Good Earth ) 長編小説。パール=バック作。一九三一年成立。清朝末期の中国の大地に生きる貧農王龍・阿蘭夫婦の生活と、その苦難、流浪、変遷を通じて、中国民族の盛衰を描く。ピュリッツァー賞受賞。「息子たち」「分裂した家」とともに三部作「大地の家」を構成し、その第一部にあたる。

おお‐つちおほ‥【大地・大土】

  1. 〘 名詞 〙 (天に対して)広大な地。
    1. [初出の実例]「出でて大地(ヲホツチ)海原(うなはら)諸神(もろもろのかみたち)を吹生(ふきな)す」(出典日本書紀(720)神代上(水戸本訓))

だい‐じ‥ヂ【大地】

  1. 〘 名詞 〙だいち(大地)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大地」の意味・わかりやすい解説

大地
だいち
The Good Earth

アメリカの女流作家パール・バックの長編小説。1931年刊。三部作『大地の家』The House of Earthの第一部。主人公王竜(ワンロン)は中国の貧農で、土地の豪族黄家の奴隷阿蘭(アーラン)を妻にもらい受ける。彼女は夫を助け、天災や暴動などの試練にもよく耐え、ひたすら家の繁栄に力を尽くす。妻の旧主家の土地を買い取り、やがて大地主となった王竜は、茶屋の女蓮華(リエンホウ)を家に入れ、妻妾(さいしょう)同居の生活が始まる。阿蘭は正妻としての権威を守り、妾(めかけ)の自由なふるまいを許さなかった。一方、王竜は漁色家ながら、土地や財産の管理に関しては抜け目がなかった。土地はやがて分割され3人の息子たちの所有になる。『息子たち』(1932)、『分裂せる家』(1935)とテーマは展開する。この作品には、波乱の中国史を背景に、中国事情に対する作者の深い理解がうかがえる。発刊後ベストセラーとなり、1932年ピュリッツァー賞を受けた。

[板津由基郷]

『新居格訳『大地』全4巻(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大地」の意味・わかりやすい解説

大地
だいち
The Good Earth

アメリカの女流作家パール・バックの小説。 1931年刊。宣教師の娘として生後5ヵ月で中国に渡った作者自身の見聞をもとに,一農夫から身を起して大地主となる王竜 (ワンルン) とその一家の歴史を描いた大作。『息子たち』 Sons (1932) ,『分裂した家』A House Divided (35) とともに,3部作『大地の家』 The House of Earthを構成する。 32年ピュリッツァー賞を受賞。劇化,映画化もされた。

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百科事典マイペディア 「大地」の意味・わかりやすい解説

大地【だいち】

P.バックの小説。三部作《大地》(1931年。ピュリッツァー賞受賞),《息子たち》(1932年),《分裂した家》(1935年)の総称。清朝末から中華民国成立までの中国の時代の流れを背景に,農夫から大地主となった王竜,土地から離れたその息子たち,近代化する中国に希望を見いだす孫の王淵の3代を描く。

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デジタル大辞泉プラス 「大地」の解説

大地

1937年製作のアメリカ映画。原題《The Good Earth》。パール・バックの同名小説の映画化。監督:シドニー・フランクリン、出演:ポール・ムニ、ルイーゼ・ライナー、ウォルター・コメリーほか。第10回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同主演女優賞(ルイーゼ・ライナー)、撮影賞受賞。

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普及版 字通 「大地」の読み・字形・画数・意味

【大地】たいち

広い地。

字通「大」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の大地の言及

【バック】より

…1917年宣教師で農業経済学者でもあり,《支那農業論》の著者として日本でも知られるJ.L.バック(1890‐1975)と結婚し,一時南京大学で英文学を教える。処女作《東の風,西の風》(1930)に続く《大地》(1931)はベストセラーとなり,32年ピュリッツァー賞を受ける。これは《息子たち》(1932),《分裂せる家》(1935)と三部作《大地の家》を構成し,中華民国成立(1912)当初を時代背景に,農民から身を起こして大地主となった王家の変遷を描く。…

【李箕永】より

…植民地下農村の疲弊と階級分化,農民のたたかいを描いた長編《故郷》(1933)や《人間修業》(1936),《春》(1940)のほか,中編《野火》,短編《元甫》《製紙工場村》などがあり,農村作家としての個性を表現した。途中筆を折ったが,解放後は朝鮮民主主義人民共和国の新しい農民像を映した長編《大地》(1部1948,2部1960),短編《開闢》,19世紀末葉の反日義兵闘争から1930年代初期抗日武装闘争にいたる農民のたたかう姿を描いた民族叙事詩的3部作《豆満江》(1954‐64)を出した。朝ソ親善協会委員長,最高人民会議副議長,朝鮮文学芸術総同盟委員長を歴任。…

※「大地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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