出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
能登(のと)半島の基部、富山県氷見(ひみ)市大境の白山神社の境内にある、東南東に向かって開口した海食洞窟遺跡。遺跡は1918年(大正7)社殿改築工事に際し発見され、同年9月、小金井良精(こがねいよしきよ)、山崎直方(なおまさ)、長谷部言人(はせべことんど)、松村瞭(あきら)、柴田常恵(しばたじょうえ)ら当時の人類学、考古学、地理学の諸権威が調査し、その結果、最下層の第6文化層より縄文時代後期の土器、石器を出土、間に落盤層を挟み、上部の第5文化層は弥生(やよい)時代の土器、石器、骨角器、魚骨などを出土。さらに上層の第4、第5文化層との間にも落盤層が介在し、この二つの文化層からは古墳時代の土師器(はじき)、須恵器(すえき)と人骨が検出された。また第1、第2文化層からは須恵器、鉄製品、陶磁器片などが出土した。このように時期を異にした文化層が落盤層を挟み層位的に堆積(たいせき)した洞窟遺跡は当時としては初めての知見であり、22年国史跡に指定された。
[江坂輝彌]
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