中国,東北部,黒竜江省南西部松嫩(しようのん)平原上の省直轄の石油工業都市。人口138万(2000)。旧名安達。もとトルベート(杜爾伯特)旗の遊牧地だった湿草原だが,1906年(光緒32)安達庁がおかれ,13年安達県をおき,60年肇州県の一部を合併,安達市となり,79年大慶市と改名(現在の安達市は大慶市の東南に隣接する県級市)。1959年国慶節直前に油田の試掘に成功したので大慶と命名された,中国最大の油田地帯の中心都市。竜鳳,薩爾図(サルト)が中心市街地で,石油化学コンビナートが立地する。浜洲鉄道(ハルビン~マンチュリー)に沿い,通譲線(通遼~譲湖路)が分岐,北京,撫順,大連までパイプラインが通じる。
執筆者:河野 通博
ハルビンの北西約160km,チチハルの南東約120kmに位置し,20以上の油田で構成される油田群の総称。1959年に発見されたが,開発の成功は64年に初めて中国政府によって発表された。生産が開始されたのは1960年である。南北約100km,東西約15~20kmの広がりをもち,主要油層は下部白亜系に属する約10枚の砂岩で,深度は1000m前後である。油井1坑当りの生産量は日産数十kl程度と低く,大規模な水攻法等の二・三次回収法が実施されている。埋蔵量は約130億バレルと推定され,中国では最大の油田であるが,世界的には17位に位置する。1976年以来毎年5000万tの原油を連続して産出し,95年時点で94億バレルが生産されている。油質は比重33.1°API,硫黄分0.11%であるが,ワックス分が多く(20%前後),流動点が高い(+32.5℃)のが特徴であり,重油分の得率が70.1%という特異なものである。ワックス分が多いため輸送にあたっては,原油が凝固するのを防ぐため送油管の外側を50℃の温水を満たしたパイプで包んでいる。
執筆者:加藤 正和
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中国、黒竜江(こくりゅうこう)省南西部の地級市。旧称は安達(あんだつ)。松嫩(しょうどん)平原の中西部に位置し、南部は吉林(きつりん)省と接する。5市轄区、3県、1自治県を管轄する(2017年時点)。人口281万5500(2011)。1959年中国屈指の大油田(大慶油田)が発見され、労働者を大量投入する人海戦術的な方式で、石油工業都市として発展した。大躍進期の「工業は大慶に学べ」というスローガンは有名。過度な採掘により、2000年前後から原油生産が激減し、2002年には失業労働者による大規模なデモが発生した。浜洲(ひんしゅう)線、通譲線(通遼(つうりょう)―大慶)、2015年開通の哈斉(はせい)旅客専用線(ハルビン―チチハル)などが通じ、綏満高速道路(綏芬河(すいふんが)―満洲里(まんしゅうり))、大広高速道路(大慶―広州(こうしゅう))も通る。2009年には、市中心部の北約20キロメートルに大慶サルト空港が開港した。
大慶油田開発の功労者、油田労働者として著名な王進喜(おうしんき)(1923―1970)の記念館がある。市東部の竜鳳(りゅうほう)湿地は自然保護区に指定されている。
[周 俊 2018年1月19日]
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