始め(読み)ハジメ

デジタル大辞泉 「始め」の意味・読み・例文・類語

はじめ【始め/初め】

はじめること。また、はじめた時期。「勤め―」「タバコの吸い―」⇔終わり
物事の起こり。起源。「国の―」
物事を行う最も早い時期。最初のころ。副詞的にも用いる。「五月の―」「何をするにも―が肝心だ」「―から終わりまで読み通す」「―君だとは気づかなかった」
順序のいちばん先。序列の第一。「―の話のほうがおもしろい」
(「…をはじめ」「…をはじめとして」の形で用いる)多くの中で、主となるもの。また、先に立つもの。「校長を―、教師全員」「米を―として食品の多くが」
一部始終。事の次第
御無心ながら乳を少し貰ひましょ、と―を語れば」〈浮・一代男・一〉
[補説]ふつう345は「初め」と書く。
[類語](1)(3最初当初初期初頭始期早期初葉劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手しょて出端ではなはな初っぱな口開取っ付きあたまのっけスタート第一一次原初手始め事始めまず優先序の口皮切り第一歩第一声開口一番嚆矢こうし一番いの一番真っ先先立ち先頭はし取り敢えず差し当たりひとまず当座始まり始まる始めるトップ初発発端端緒濫觴らんしょう権輿けんよ起こりとば口取っ掛かり開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て/(2始まり起こりもと発端ほったん端緒濫觴らんしょう嚆矢こうし権輿けんよ起源根源源流本元物種温床源泉糸口とば口取っ掛かり手掛かり足掛かり道を付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「始め」の意味・読み・例文・類語

はじめ【始・初】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はじめる(始)」の連用形の名詞化 )
  2. 物事の起こり。原初。
    1. (イ) 物事の生成の発動、また、その時期。発生。
      1. [初出の実例]「開闢之初 安女津知乃比良久留波志女(あめつちのひらくるハシメ)」(出典:御巫本日本紀私記(1428)神代上)
    2. (ロ) 新しく事を起こすこと。また、その位置、時期。開始。切り出し。端緒。
      1. [初出の実例]「宮づかへのはしめに、ただなほやはあるべき」(出典:伊勢物語(10C前)七八)
  3. 時間的推移における最も早い時期。「終わり」または「なか、あと」に対応し、副詞的にも用いる。
    1. (イ) 初期。初頭。
      1. [初出の実例]「正月たつ春の波自米(ハジメ)にかくしつつ相し笑みてば時じけめやも」(出典:万葉集(8C後)一八・四一三七)
    2. (ロ) 最初。先。以前。
      1. [初出の実例]「はしめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて」(出典:伊勢物語(10C前)二三)
      2. 「鳥の声も、はじめは羽のうちに鳴くが」(出典:枕草子(10C終)七三)
  4. 物事の起こるみなもと。おおもと。本源。根源。本主。
    1. [初出の実例]「有一雌元之処〈比止津乃三乃波志女乃止古呂安利(ひとつのみのハシめのところあり)〉」(出典:御巫本日本紀私記(1428)神代上)
  5. 物事の序列の第一。いくつか列挙するうちの、第一に主だったもの。
    1. [初出の実例]「あまり情にひきこめられて、とりなせばあだめく。これをはしめの難とすべし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  6. ひと続きのものの最初の部分。
    1. (イ) 表現の首部。書き出し。緒言。前口上
      1. [初出の実例]「導師のはしめにん、〈略〉経の心とかせ給はんとにこそありけれとばかりいふを聞くに」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
    2. (ロ) 前の方。前半。最初の部分。
      1. [初出の実例]「既に十番競馬はじまる。はしめ四番、一宮惟喬親王かたせ給ふ」(出典:平家物語(13C前)八)
  7. 転じて、発端から現時点に至るいきさつ。一部始終。事の次第。井原西鶴の作品に多く見られる。
    1. [初出の実例]「正気の時、やうすを問ば、はじめをかたる」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)四)

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