デジタル大辞泉
「存知」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ぞん‐ち【存知】
〘名〙 (「ぞんぢ」とも)
① 存在を知っていること。知って理解していること。
※
吾妻鏡‐文治三年(1187)一〇月三日「為
二御存知
一、所
レ申候也」
※平家(13C前)一「既に十二三にならむずる者が、今は礼儀を存知してこそふるまうべきに」
② 心得て覚悟していること。
※平家(13C前)一「後日の訴訟を存知して、
木刀を帯しける用意のほどこそ神妙なれ」
[語誌](1)「存知」を「存じ」の
当て字と見る説もあるが、「
平家物語」など
中世の
文献に「存知して」とあるように「存知」のサ変動詞として用いた例が多く見られるところから、「存知」と「存じ」とはもとは別語であったと考えるべきであろう。
(2)「存知」は
和製漢語と思われ、
発音は「文明本節用集」などの古辞書類に記されているようにゾンチと第三音節が
清音であった。それが中世後期には、連濁現象の流行によって、ゾンヂに変化した。「存じ」とは別語であったが、中世末期に生じた四つ仮名の
混同によって同音となり、次第に混同して使われるようになった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報