安全保障理事会(読み)アンゼンホショウリジカイ(英語表記)Security Council

翻訳|Security Council

デジタル大辞泉 「安全保障理事会」の意味・読み・例文・類語

あんぜんほしょう‐りじかい〔アンゼンホシヤウリジクワイ〕【安全保障理事会】

国際連合の主要機関の一つで、総会と並ぶ最高機関。国際平和の維持、国際紛争の解決を目的とする。米国・英国・フランスロシア連邦・中国の5常任理事国と、総会で選挙される任期2年の10の非常任理事国の15か国で構成。常任理事国は決議における拒否権を有する。安保理事会安保理UNSCアンスク(United Nations Security Council)。SC(Security Council)。

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精選版 日本国語大辞典 「安全保障理事会」の意味・読み・例文・類語

あんぜんほしょう‐りじかい‥ホシャウリジクヮイ【安全保障理事会】

  1. ( [英語] Security Council の訳語 ) 国際連合で、総会と並ぶ最高機関。アメリカイギリス・フランス・ソ連(一九九二年からロシア)・中国の五常任理事国と、総会で選出される任期二年の一〇の非常任理事国で構成。紛争の平和的解決、平和に対する脅威・破壊・侵略行為の防止・抑圧などを目的とする。安保理事会。

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改訂新版 世界大百科事典 「安全保障理事会」の意味・わかりやすい解説

安全保障理事会 (あんぜんほしょうりじかい)
Security Council

国際連合の主要機関の一つで,国際平和と安全の維持を主要な任務とする。理事国は5常任理事国と10非常任理事国で構成される。常任理事国であるアメリカ,イギリス,ソ連(ロシア),フランス,中国の5ヵ国は,国際連合憲章23条に明記されているから,常任理事国をそれ以上ふやすためには,憲章の改正が必要となる。非常任理事国は,国連発足当時は6ヵ国であったが,加盟国,とくにアジア・アフリカ諸国(AA諸国)の著しい増加にともない,AA諸国の強い要請で,1965年8月31日,憲章の改正により10ヵ国に増加した。非常任理事国の任期は2年で,連続再選はされない。毎年5ヵ国ずつ改選され,アジア・アフリアに5,ラテン・アメリカに2,東欧に1,西欧その他に2と議席の地理的配分に従って,総会で選ばれる。任期を終了した国は,引き続き再選されない。日本は,これまでに1958-59年,66-67年,71-72年,75-76年,81-82年,87-88年,92-93年,97-98年の8期理事国であった。

 安全保障理事会は,国際平和と安全の維持についての主要な責任を認められており,この点で総会よりも優越した地位に立つ。国家間の紛争などで平和と安全を危うくするものに対して,安全保障理事会は国連憲章第6章の下で,事実の調査,必要な手続や方法の勧告,適当な解決条件の勧告を内容とする平和的解決をはかり,さらに第7章では,平和に対する脅威や平和の破壊,侵略行為の発生を認定し,関係当事者に対して,事態の悪化を防ぐための必要な暫定措置を要請し(40条),外交的,経済的断交などの非軍事的強制措置(41条),または陸・海・空の兵力による軍事的強制措置の発動を決議し,加盟国にそれへの参加を求めることができる。もっとも軍事的措置に参加する兵力の提供については,提供兵力の数や種類などを定めた特別協定によることになっているが(43条),この協定が不成立のために,安全保障理事会への加盟国の軍事的協力は義務ではない。

 理事会の表決方式は,手続事項とそれ以外の事項とに分かれ,前者は,いずれかの9理事国の賛成投票によって決議は成立するが,後者の場合は,9理事国以上の賛成だけでなく,その中に常任理事国全部の同意投票が含まれていなければならない。したがって常任理事国が1国でも反対すれば,たとえ他の理事国全部が賛成しても,決議は採択されないことになり,このような常任理事国の権利拒否権と呼んでいる。ただし,五大国の棄権や投票不参加は拒否権とならない慣行が成立している。安全保障理事会は,大国を中心とする小規模な会議体であり,問題が発生すればただちに会議を開く体制になっている。したがって,総会が国際世論を形成する場としての重要性を加えた今日においても,政治的に重要な紛争や事態を処理するのは,多くの場合,安全保障理事会であり,国連の運営上,総会とならぶ中心的な機関となっている。
国際連合
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百科事典マイペディア 「安全保障理事会」の意味・わかりやすい解説

安全保障理事会【あんぜんほしょうりじかい】

国際連合3理事会の一つで国際平和と安全の維持に主要な責任をもつ機関。国連の最も重要な機能に第一次的な責任をもつため,実質的には総会より上位にある。拒否権をもつ常任理事国5ヵ国(中・仏・ロ・英・米)と任期2年の非常任理事国10ヵ国(1965年まで6ヵ国)で構成。後者は地理的配分を考慮して総会で選出する(毎年半数改選,配分はアフリカ3,アジア2,東欧1,中南米2,西欧その他2)。平和が破壊された際にはその事実を認定し,経済断交措置や軍事行動を指示できる。この決定には全加盟国が協力する義務がある。こうした措置には常任理事国全部を含む9ヵ国の賛成を要する。国連創設半世紀を経て,加盟国の増加などを背景に常任理事国数の増加,拒否権の存否が論議され,日本も1993年以来常任国入りの希望を表明している。2005年には常任理事国入りをめざす日本,ドイツ,インドブラジルの4ヵ国(G4)が安保理改革のための〈枠組み決議案〉を国連加盟各国に提示した。常任理事国6増を含む安保理25ヵ国体制がその柱。
→関連項目安全保障拒否権経済社会理事会国連軍縮委員会国連事務局国連総会自衛権集団安全保障集団的自衛権信託統治信託統治理事会侵略朝鮮戦争平和のための結集決議

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安全保障理事会」の意味・わかりやすい解説

安全保障理事会
あんぜんほしょうりじかい
Security Council

国際連合の主要機関の一つ。国際平和と安全の維持に関して主要な責任を負わされている。このため、有事即応の態勢に置かれる。おもな任務は、平和を破壊するに至るおそれのある紛争または事態を平和的に処理し、かつ平和への脅威、平和の破壊、または侵略行為などに対し勧告をし、または強制措置を決定することである。これに関連して、軍備規制計画の作成、国際司法裁判所の判決の履行、地方的紛争の地域的処理の奨励、地域的強制行動の許可、戦略地区の監督などを行う(国連憲章24条1、2項)。さらに、総会と共同して、加盟承認、除名、権利停止、事務総長任命などを管掌する。

 構成は、5常任理事国と10非常任理事国の計15か国からなる。常任理事国は、中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカの五大国である。非常任理事国は、総会が毎年半数を選挙し、任期は2年、再選は許されない(23条1、2項)。総会での選出基準は、第一に国連の目的に対する貢献度、第二に衡平な地理的配分であるが、実際には第二の基準に比重がかけられてきた。表決は、手続事項については単純に9理事国の、非手続事項については「常任理事国の同意投票を含む」9理事国の賛成投票によって行われる(27条2、3項)。後者の場合、常任理事国が反対投票すれば決議が成立しないことから拒否権というが、逆に有効に「決定」(強制措置を含む)が行われれば、すべての加盟国に対し拘束力をもつ(25条)。このように、安全保障理事会は強制措置の決定を頂点に、いちおうは強力な権限を有するが、その実効性は究極において大国の一致にかかる仕組みである。

 安全保障理事会は、当初5常任理事国と6非常任理事国の計11か国で発足した。しかし、非植民地化に伴う加盟国の増大とともに、1963年国連憲章改正により非常任理事国を10か国に増員し、現行体制となった(1965年発効)。冷戦後は、国際情勢の変化と加盟国のさらなる増大にかんがみ、非常任理事国のみならず常任理事国の増員を含む安全保障理事会の拡大が国連改革の重要課題となっている。

[内田久司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安全保障理事会」の意味・わかりやすい解説

安全保障理事会
あんぜんほしょうりじかい
Security Council

国連の主要機関の一つで,国連の第一の目的である「国際の平和と安全の維持」について主要な責任を負っている。国連憲章第7章によれば,平和への脅威,平和の破壊などに対し,武力行使をも含む強制措置の発動を決定できるのはこの理事会だけであり,またその決議は全加盟国を拘束する。同機関は,5つの常任理事国 (アメリカ,ロシア,イギリス,フランス,中国) と 10の非常任理事国 (1965年までは6ヵ国) ,計 15ヵ国をもって構成される。決定は,手続事項を除いて,すべての常任理事国を含む9理事国以上の賛成投票によって成立する。常任理事国は拒否権を行使することができる。各理事国はその代表者を国連の所在地に常駐させるよう定められている。憲章上の補助機関として軍事参謀委員会がある。 1992年1月,安全保障理事会は初めて首脳レベルの会議を開き,国連による集団安全保障を再確認した。

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知恵蔵 「安全保障理事会」の解説

安全保障理事会

国連の主要機関の1つで、平和と安全の維持に関しては、総会にも優越する「主要な責任」を負う。平和と安全の維持ないし回復のために、非軍事的強制措置(外交関係の断絶など)のみならず、国連軍を編成して軍事的強制措置をとることも決定できる(もっとも国連軍はいまなお編成されていない)。安保理の決定は法的拘束力を持ち、国連加盟国はそれに従わなければならない。総会決議にはみられない強い効力である。15の理事国で構成されるが、非理事国や非加盟国であっても、自国が当事者である紛争の討議には参加できる(理事国でない加盟国の場合は、単に利害関係国でしかない場合でも討議参加が可能)。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

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旺文社世界史事典 三訂版 「安全保障理事会」の解説

安全保障理事会
あんぜんほしょうりじかい

国際的平和と安全の維持を第一任務とする国際連合の最も重要な専門機関
国際紛争を調査し,平和に対する脅威,その破壊,侵略行為が存在すると認定したときには,それを防止するのに必要な勧告をし,また経済的・軍事的強制措置をとる権限をもっている。理事会はアメリカ・イギリス・ロシア(設立時〜1990年まではソ連)・中国・フランスの5常任理事国と,総会で選挙される任期2年の非常任理事国10か国によって構成される。常任理事国のうち一国でも反対すれば(拒否権を行使),決議は成立しないことになっている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「安全保障理事会」の解説

安全保障理事会
あんぜんほしょうりじかい

国際連合の主要機関。国際平和と安全の維持の主たる責任を負う。侵略行為の存在を決定し,軍事的手段を含む平和回復措置の方法を決定する。常任理事国の米・英・仏・ソ(現,ロシア)・中の5カ国と,2年任期で総会から選出される非常任理事国10カ国(1965年の憲章改正までは6カ国)で構成される。第2次大戦時の五大国であった常任理事国には拒否権が与えられ,新規加盟申請や憲章改正などに関しては常任理事国の全会一致を要する。

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旺文社日本史事典 三訂版 「安全保障理事会」の解説

安全保障理事会
あんぜんほしょうりじかい
Security Council

国際平和と安全の維持を任務とする国際連合の主要機関
国際紛争の平和的解決にあたるほか,平和侵犯国を認定し,これに対し経済的・軍事的制裁を加える権限をもつ。拒否権をもつ常任理事国5カ国(米・ロシア・英・仏・中)と総会で選出された2年任期の非常任理事国10カ国で構成される。

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