儀陽殿とも記す。平安宮内裏の殿舎。827年(天長4)にその存在が確認できるので,平安宮創建時から設けられたと推定できる。紫宸殿の東側に位置し,南にある春興殿とならんで,西側にある校書殿(きようしよでん),安福殿と相対する。桁行9間,梁行2間の身舎の四面に廂をつけた南北棟建物である。身舎は塗籠につくり,天皇所持の書法,楽器,甲冑などの宝物を収蔵し,納殿と呼ばれた。内裏内の御物の収蔵施設はこのほかにもあるが,《西宮記》によれば,累代の御物は宜陽殿に,恒例の御物は校書殿の蔵人所と綾綺殿(りようきでん)に,紙御屛風は仁寿殿(じじゆうでん)に収蔵したという。西廂は公卿座と呼び,紫宸殿で行事のある際公卿の座となり,また天皇の出席しないときの節宴を行うことがあった。東廂には大臣宿と上官侍があるが,878-881年(元慶2-5)に善淵愛成らがここで《日本書紀》の講書(日本紀講筵(こうえん))を行ったのが有名である。南廂には議所(ぎのところ)があり,除目(じもく)を行った。
執筆者:今泉 隆雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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