小間物屋(読み)コマモノヤ

デジタル大辞泉 「小間物屋」の意味・読み・例文・類語

こまもの‐や【小間物屋】

小間物店こまものみせ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「小間物屋」の意味・読み・例文・類語

こまもの‐や【小間物屋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (くし)、笄(こうがい)、簪(かんざし)類から口紅、髪油などに至る婦人の装飾品、日用品などを主に商う家。また、その人。江戸時代では、荷に背負って売り歩く行商が普通だった。小間物小間物店小間物売屋。
    1. 小間物屋<b>①</b>〈四時交加〉
      小間物屋〈四時交加〉
    2. [初出の実例]「光る灯心三筋四つ辻 小まものや出見せのめがねめさるべし〈重安〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)下)
  3. ( こまごましたものを並べる意から ) 反吐(へど)を吐くこと。飲食したものをもどすこと。また、その反吐。小間物。小間物店。
    1. [初出の実例]「こいつ大へんから下戸の小間物屋」(出典:雑俳・柳多留‐八七(1825))

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改訂新版 世界大百科事典 「小間物屋」の意味・わかりやすい解説

小間物屋 (こまものや)

小間物を売買する商人。小間物は細物(こまもの),あるいは高麗(こま)物,つまり舶来品のことという。17世紀前半,京都では京極通り,大坂では堺筋に小間物屋があった。そのころの小間物は,塗物の容器,箱物,眼鏡,刃物,はさみ,櫛(くし),笄(こうがい),ちろりなどで,《人倫訓蒙図彙》は〈一切の具此所にあり,都鄙におゐて重宝の商人なり〉としている。それらの品物は小間物問屋に集荷され,小売の小間物屋がそれらを仕入れて売った。その後,紅・おしろいなどの化粧品,櫛・笄・簪(かんざし)や元結・丈長(たけなが)などの髪飾り,紙入れ・タバコ入れなどの袋物,きせるなどを主にするようになった(《守貞漫稿》)。店売のほかに行商の小間物売がいた。おもに女性の生活用品を扱っていたから,顧客は女性が多く,女性の小間物売も少なくなかった。品物をいれた箱の幾段かを大風呂敷に包み,それを背負って得意先を回った。1811年(文化8)の金沢では,商人のうち小間物屋は275軒でもっとも多く9.6%,ついで魚屋鳥屋の205軒,古着屋の180軒であった(《金沢町方絵図名帳》)。地方の都市では,そのほかに玩具も商っていた。近代に入ってしだいに化粧品,服飾品などの種類が増加し,需要も増大するにともない,小間物屋の多くは化粧品,服飾品などの専門店に分化する傾向にあり,また,行商の小間物売はほとんど見られなくなった。
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百科事典マイペディア 「小間物屋」の意味・わかりやすい解説

小間物屋【こまものや】

小間物を商う人,またはその店。〈こまもの〉は高麗(こま)等舶来の物とする説,細物(こまもの)の義とする説がある。江戸時代は行商が普通で,化粧品,櫛(くし),簪(かんざし),楊枝,歯みがき,紙入,タバコ入等を売り歩く。貸本屋と同じく大包を背負って行商し,時にいかがわしい具等も商い,川柳(せんりゅう)の題材となっている。
→関連項目貸本屋

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