少女(読み)おとめ

精選版 日本国語大辞典 「少女」の意味・読み・例文・類語

おと‐め をと‥【少女・乙おと女】

[1] (若々しく生命力の盛んな女の意)
成年に達した未婚の女。のちには、一〇歳くらいから成人前の未婚の女性を広くさすようになった。処女。⇔おとこ
古事記(712)上「『阿那邇夜志愛袁登売袁(あなにやしえヲトメを)』と言ひ」
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)二「かくまで愛(めで)たき未通女(ヲトメ)にてましますに」
② 年のいかない女の子。童女。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
天女。仙女。あまつおとめ。
古今(905‐914)雑上・八七二「あまつ風雲のかよひぢ吹きとぢよをとめの姿しばしとどめん〈遍昭〉」
④ 五節の舞姫。あまつおとめ。
※源氏(1001‐14頃)乙女「むかし御目とまり給ひしをとめの姿おぼし出づ」
[2] 「源氏物語」第二一帖の名。光源氏三三歳の四月から三五歳の一〇月まで。夕霧元服、大学入学と雲居雁との恋、六条院の新築などを描く。
[語誌](1)「をと」は若返る意の動詞「をつ(復)」と同源という。「未通女」とも表記し、結婚適齢期の女性の意。
(2)古代では「をとこ」━「をとめ」で対をなしていたが、「をとこ」が男性一般の意となって、女性一般の意の「をんな」と対をなすように変わり、それに伴って平安時代には「をとめ」も「少女」と記され、天女や巫女を表わすようになった。
(3)「乙女」の漢字表記の「乙」は「おとうと」の「おと」と同じく年下の意であるが、「お」と「を」の区別が失われて用いられるようになった当て字

しょう‐じょ セウヂョ【少女】

〘名〙
① 年若い女子。おとめ。むすめ。少女子。また、姉妹の、下の子。小女
三代実録‐貞観九年(867)一〇月四日「僕有一少女。願令枕席
名語記(1275)六「少女のひなあそびとて、人形をつくりすへたる」 〔史記‐趙世家〕
令制で、一七歳以上二〇歳以下の女子。
正倉院文書‐大宝二年(702)御野国味蜂間郡春部里戸籍「次牟依売 年十九少女 次真依売 年十七少女 次床嶋売 年十五小女」

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デジタル大辞泉 「少女」の意味・読み・例文・類語

しょう‐じょ〔セウヂヨ〕【少女】

年少の女子。ふつう7歳前後から18歳前後までの、成年に達しない女子をさす。おとめ。「多感な少女時代」「文学少女
律令制で、17歳以上、20歳(のち21歳)以下の女子の称。
[補説]作品名別項。→少女
[類語](1女の子小娘童女どうじょ乙女おとめ乙女子おとめご女子おなごガールギャルコギャルヤングミセスヤンママお嬢さん早乙女生娘おぼこ処女女児女子子女

しょうじょ【少女】[絵画]

《原題、〈オランダMeisjeskopjeフェルメールの絵画。カンバスに油彩。縦44センチ、横40センチ。黒い無地を背景に、少女がこちらに顔を向けた姿を描いた作品。その構図や雰囲気から、「真珠の耳飾りの少女」と関連があるといわれている。ニューヨーク、メトロポリタン美術館所蔵。

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普及版 字通 「少女」の読み・字形・画数・意味

【少女】しようじよ(せうぢよ)

若い娘。唐・李白〔姑熟十詠、丹陽湖〕詩 少女、歸舟に棹さし 歌聲、水を(お)ふ

字通「少」の項目を見る

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