デジタル大辞泉
「左右」の意味・読み・例文・類語
そ‐う〔サ‐〕【▽左右】
1 左と右。また、かたわら。さゆう。「左右の手」
「識り難くして、―を顧みる」〈今昔・九・二七〉
2 左か右に落ち着くこと。決着。また、その成り行き。「吉左右」
「軍の―を待つとみるはひがごとか」〈平治・中〉
3 年齢などの数を表す語に付いて、その前後の数であることを示す語。
「三十―、細作りな美人」〈蘆花・黒潮〉
4 とやかく言うこと。非難すること。
「頼長と申すは…人柄も―に及ばぬうへ」〈古活字本保元・上〉
5 指図。命令。
「御所へ申し入れて、その御―に依るべしとて」〈盛衰記・三九〉
6 あれこれの知らせ。便り。手紙。
「御―遅しとぞ責めたりける」〈太平記・二一〉
ひだり‐みぎ【左右】
1 左と右。左方と右方。さゆう。
2 左と右を取り違えること。みぎひだり。「サンダルを左右に履く」
3 あれこれとすること。あれやこれや。とやかく。多く「に」を伴って副詞的に用いる。
「―に苦しう思へど」〈源・空蝉〉
もと‐こ【左=右】
《「許処」の意》かたわら。そば近く。
「天皇愛みて、―に引し置きたまふ」〈垂仁紀〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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そ‐うサ‥【左右】
- 〘 名詞 〙 ( 「う」は「右」の呉音 )
- ① 左と右。さゆう。
- [初出の実例]「朱雀門左右、陣二列皷吹騎兵一」(出典:続日本紀‐霊亀元年(715)正月甲申)
- 「左右の大将、中・少将などの御格子のもとにさぶらひ給ふ、いといとほし」(出典:枕草子(10C終)二九六)
- 「山の左右より、月日の光さやかにさし出でて、世をてらす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- 「伊東・北条とてさうの翼にて、いづれ勝劣有るべきに」(出典:曾我物語(南北朝頃)二)
- ② そば。かたわら。また、そば近くに仕える者。さゆう。
- [初出の実例]「その後廿五年の間(あひだ)、かた時仏の左右にしたがひたてまつらずして」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)三月七日)
- ③ あれかこれかのなりゆき。ことの様子。有様。
- [初出の実例]「平家勝たば、主上わたらせ給へば、六波羅へ参らんと思ひ、軍の左右(サウ)を待つと見るはひがことか」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)中)
- ④ あれこれ言うこと。とやかく言うこと。また、非難してあれこれ言うこと。
- [初出の実例]「御斎会所事又誰人奉仕哉、大甞会行事所レ不レ可レ論二左右一」(出典:小右記‐寛弘九年(1012)九月二日)
- 「一門の中の大将、すでに従ひ奉る上は、左右にあたはず」(出典:平治物語(1220頃か)上)
- 「さうにをよばずとて、忽に上件の曜宿を繰り」(出典:曾我物語(南北朝頃)二)
- ⑤ とかくの指図。指令。命令。
- [初出の実例]「御所へ申し入れて、其の御左右(サウ)に依る可しとて奏聞あり」(出典:源平盛衰記(14C前)三九)
- 「日も暮れはんべらば、はやはや御さう申すべし」(出典:仮名草子・ねごと草(1662)下)
- ⑥ 善悪、良否、是非などの裁定。あれかこれかの決定。
- [初出の実例]「度々雖レ触二訴於司庁一、不レ裁二定左右一」(出典:東寺百合文書‐ほ・保安三年(1122)三月一一日、伊勢大国荘専当藤原時光菅原武道等解案)
- 「この御請文のおもむきは、兼てより思ひ設けられたりしかども、いまだ左右(サウ)〈高良本ルビ〉を申されざりつる程は」(出典:平家物語(13C前)一〇)
- 「断然これを行ふに堪ずと左右(サウ)して其地を辞し去り」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一一)
- ⑦ たより。しらせ。情報。音信。消息。安否。また、合図。
- [初出の実例]「敵を全員落さん事日を過さじと心安く思ける。其の左右を今や今やと待ける所に」(出典:太平記(14C後)八)
- 「久しく叔母の左右(サウ)をもきかず」(出典:人情本・清談若緑(19C中)初)
- ⑧ 数を表わす語に付いて、その前後の数であることを示す。多く、年齢などに用いる。
- [初出の実例]「そのかたなどのやうに、さう六十のよはひになりては」(出典:評判記・たきつけ草(1677))
- 「主と見ふるは、三十左右(サウ)、細作りな美人」(出典:黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一)
左右の語誌
( 1 )「観智院本名義抄」には「左右」に「トニカクニ」の訓があり、「万葉集」や「色葉字類抄」からは、古くは「左右」の二字で「かにもかくにも」「とさまかうさま」とも読まれたことがうかがわれる。やがてサウと音読され、形容詞「左右無し」などが生じる。
( 2 )漢音読みのサユウも中世以来並用され、現在では普通サユウが使われる。
さ‐ゆう‥イウ【左右】
- 〘 名詞 〙
- ① ひだりとみぎ。左側と右側。また、左翼と右翼。
- [初出の実例]「琴書左右、言笑縦横」(出典:懐風藻(751)秋日於長王宅宴新羅客)
- 「たとへば鳥の左右(サユウ)〈高良本ルビ〉の翅の如し」(出典:平家物語(13C前)四)
- [その他の文献]〔詩経‐周南・関雎〕
- ② ( ━する ) 左や右にうごくこと。
- [初出の実例]「手にて機を動せば左右する仕掛をなし」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
- ③ ( ━する ) そば。かたわらにあること。また、そば近く仕え補佐すること。または、その人。側近。
- [初出の実例]「伏請。能守二左右一勿レ容二姦人一」(出典:聖徳太子伝暦(917頃か)上)
- 「十二人のものども則左右(サユウ)のぢんをわたして叡感あって」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)上)
- [その他の文献]〔書経‐説命上〕
- ④ ( 数を表わす漢語のあとに付いて ) その数に近いこと。特に年齢などがその前後であることを表わす。前後。
- [初出の実例]「其年紀を推すに、南郭三十歳の左右なり、と君修語れり」(出典:随筆・文会雑記(1782)三)
- [その他の文献]〔春秋左伝注‐僖公五年〕
- ⑤ ( ━する ) 態度をあいまいにすること。その場その場でことばを変えること。言いのがれすること。
- [初出の実例]「なぜか言葉を左右(サユウ)にして、一度も容作に会ってさへくれなかった」(出典:真理の春(1930)〈細田民樹〉頭の上の街)
- ⑥ ( ━する ) どちらかに決断すること。また、その決定。どういうものかがはっきりすることをもいう。
- [初出の実例]「併しわしも商売づく、早く御左右(サイウ)をなされませ」(出典:歌舞伎・御国入曾我中村(1825)二幕)
- ⑦ ( ━する ) 自分の自由にすること。支配すること。
- [初出の実例]「政党の領袖となりて、議論を左右(サイウ)すべき人柄とぞ思はる」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一〇)
- [その他の文献]〔春秋左伝‐僖公二六年〕
- ⑧ 能や狂言の舞の型の一つ。左方へ左手をやや高く出すにつれ、右手を低くそえて数歩出る。次に右方にむきを変えて右手をやや高く出しながら、左手を低くそえて、数歩出る所作。〔八帖花伝書(1573‐92)〕
ひだり‐みぎ【左右】
- 〘 名詞 〙
- ① 左と右。左側と右側。さゆう。そう。
- [初出の実例]「次に浄広肆河内王、左右大舎人(ヒタリミキのおほとねり)の事(こと)を誄る」(出典:日本書紀(720)朱鳥元年九月(北野本訓))
- 「ひだりみぎの戸も皆よろぼひ倒れにければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
- ② 左にしたり右にしたりすること。あれこれとすること。多く「に」を伴って副詞的に用いる。かれこれと。あれやこれや。とやかく。とやこう。
- [初出の実例]「ひだりみぎに苦しう思へど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
- ③ 舞楽で、左舞(さまい)と右舞(うまい)。左方の楽と右方の楽。
- [初出の実例]「ひだりみぎの楽のことおこなふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
- ④ 左と右と位置が転倒していること。みぎひだり。
もと‐こ【左右・床側】
- 〘 名詞 〙 ( 「許(もと)処(こ)」の意 ) もと。かたわら。そばちかく。
- [初出の実例]「天皇皇祖母命の臥病(みやまひ)したまひしより、発喪(みはふり)に及至(いた)るまでに、床側(モトコ)を避(さ)りたまはず」(出典:日本書紀(720)皇極二年九月(図書寮本訓))
ひだり‐みぎり【左右】
- 〘 名詞 〙 =ひだりみぎ(左右)
- [初出の実例]「これらをひたりみきりにすへ」(出典:寛文版発心集(1216頃か)六)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「左右」の読み・字形・画数・意味
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左右
日本では左と右。中国では同じ使い方もするが、~くらい、~程度の意でよく使う。
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
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