庚申(読み)こうしん

精選版 日本国語大辞典 「庚申」の意味・読み・例文・類語

こう‐しん カウ‥【庚申】

〘名〙 (「こうじん」とも)
十干十二支とを組み合わせたものの第五七番目。かのえさる。→干支(えと)
※宇津保(970‐999頃)あて宮「かくて二月中の十日、年のはじめのかうしんいできたるに」
※枕(10C終)九九「かうしんせさせ給ふとて、内の大殿、いみじう心まうけせさせ給へり」
※雑俳・柳多留‐八〇(1824)「庚申に背負せてたれる野雪隠

かのえ‐さる【庚申】

〘名〙 十干と十二支とを組み合わせたものの第五七番目。また、それに当たる年、月、日など。こうしんかんしん。→干支(えと)
拾遺(1005‐07頃か)物名・四二七「かのえさる。かのえさる舟まてしばし事とはんおきのしらなみまだたたぬまに〈藤原輔相〉」

かん‐しん【庚申】

〘名〙 (「こうしん(庚申)」の変化した語) =かのえさる(庚申)
※重之集(1004頃)上「八月十五夜かむしんのよ、大にのみたちにて」

かん‐し【庚申】

〘名〙 十干と十二支とを組み合わせたものの第五七番目。かのえさる。こうしん。
※公任集(1044頃)「九月尽くる日、かんしなるに」

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デジタル大辞泉 「庚申」の意味・読み・例文・類語

こう‐しん〔カウ‐〕【×庚申】

干支えとの57番目。かのえさる。
庚申待こうしんまち」の略。

かのえ‐さる【×申】

干支えとの57番目。こうしん。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「庚申」の意味・わかりやすい解説

庚申
こうしん

もと道教守庚申より出た庚申 (かのえさる) の年または日の禁忌行事を伴う信仰。庚申の夜には,人の体内にいる三尸 (さんし) の虫が,その体内を抜け出して天帝にその人の罪過を告げると信じられ,これを防ぐため道士たちは不眠の行を行なった。これが守庚申で,日本の民間信仰では庚申待庚申講として伝えられている。また庚申の夜には男女同床,婚姻を避けるならわしがあるが,これは庚申の神のたたりを恐れたためのものである。

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世界大百科事典(旧版)内の庚申の言及

【干支】より

…(2)丙午(ひのえうま) 陰陽五行説によれば丙も午も火になるので,この年生れの女性は気性が激しく,夫の運勢を圧倒しその生命もちぢめるという。(3)庚申(こうしん) 中国の道教によれば,人の体内に三尸(さんし)という悪霊がすんでおり,庚申の日になると天にのぼって主人の過失を司命(生死をつかさどる神)に告げるので,そうさせないためにこの日には徹夜をせねばならないとされた。これを〈守庚申〉というが,日本に入ってくるともとの意味がいつしか忘れ去られ,庚申という日が〈庚申さん〉として神格化される一方,〈守庚申〉も単なる徹夜の集いになった。…

【庚申信仰】より

…庚申の日に徹夜して眠らず,身を慎めば長生できるという信仰。
[中国]
 庚申の信仰は,晋の葛洪(かつこう)の《抱朴子》に,人間の体内には三尸(さんし)がおり,庚申の日に天に昇って,寿命をつかさどる神に人間の過失を報告し早死させようとすると記すことに由来する。…

※「庚申」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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