精選版 日本国語大辞典 「引手茶屋」の意味・読み・例文・類語
ひきて‐ぢゃや【引手茶屋】
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遊廓にあった茶屋の一種。引手茶屋がもっとも発達した江戸吉原では,高級遊女と遊興しようとする客は,まず引手茶屋にいった。そこで芸者,幇間(ほうかん)らを招き,酒食をとって遊ぶうちに,指名の遊女が従者をつれて迎えにくるので,適当なころに同道して遊女屋へいくのが通常の遊興形式であった。吉原には古くから五十軒茶屋,編笠茶屋,揚屋茶屋などの休息所的な茶屋があった。これらの茶屋が客を案内して妓楼へつれていくようになり,さらに揚屋が衰滅するに及んで発展し,仲の町の両側を埋めつくすほどになった。初めは遊女屋に従属していたが,遊女屋での遊興費の支払が引手茶屋を窓口として行われていたため,案内料のほかに遊女屋での遊興代から口銭を差し引くようになって勢力を増し,両者対等の立場に立って競争し,紛争も生じた。吉原のほか品川,新宿や岡場所にも類似の茶屋があったが,揚屋制度が整備していた関西の遊里には発達しなかった。明治以後は警察の管轄下に入ったが,花柳街の進出と遊廓の性格が変化したため急激に減少し,第2次大戦中に消滅した。
→茶屋
執筆者:原島 陽一
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