普及版 字通 「念(漢字)」の読み・字形・画数・意味
念
常用漢字 8画
[字訓] おもう・こころ
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
声符は今(きん)。今に(いん)・岑(しん)・(あん)、また念に稔(ねん)・唸(てん)・(しん)の声があり、今声の範囲はかなり広い。今は蓋栓(がいせん)の形。(いん)(飲)は酒の蓋(ふた)のある形に従う。その今と心との会意という構造は考えがたいから、今の転声とするほかない。〔説文〕十下に「常に思ふなり」とし、今声とする。金文に「(経)念」「念」などの語がある。廿(しゆう)の音に借用して「元辛未(しんび)、陽念(しふ)五日」のように用いるのは宋以後のことであるらしく、〔集韻〕に字を(しゆう)声とするが、金文の字形は明らかに今に従っており、廿・の声は字の原音ではない。〔釈名、釈言語〕に「念は黏(ねん)なり。(こころ)に相ひ親愛し、心黏してるる能はざるなり」という。今は蓋栓の形で、中に深くとざす意をもつ字である。
[訓義]
1. おもう、心にふかくおもう、おもいこめる、おもいめぐらす。
2. こころ、おもい。
3. 唸と通じ、となえる、よむ、よみあげる。
4. 廿(呉音にゆう)の音と通じ、日附のとき念五(二十五)のようにしるす。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕念 オモフ・オモヒ・メグム・シルス
[声系]
〔説文〕に念声として唸・・稔・など五字を収める。の反切音に乃(デンネン)・感(アンヲン)・乃感(ダンナン)・尼咸(ダンネン)・式(シン)・失(セン)・女減(ダンネン)・奴答(ダフナフ)の音がある。唸は都甸(テン)、(しん)は式任(シン)・知甚(チン)の音であるが、念以外の声が多く、この系統の字音に変化が多いようである。
[語系]
念nim、恁njimは声義近く、〔後漢書、班彪伝下注に引く説文〕に「恁(にん)は念ふなり」とみえる。
[熟語]
念一▶・念秧▶・念会▶・念及▶・念旧▶・念曲▶・念愆▶・念酸▶・念思▶・念室▶・念日▶・念呪▶・念誦▶・念珠▶・念想▶・念奴▶・念頭▶・念入▶・念念▶・念力▶・念慮▶
[下接語]
悪念・一念・逸念・永念・憶念・概念・観念・祈念・記念・疑念・凝念・懸念・顧念・雑念・残念・志念・思念・慈念・失念・邪念・執念・十念・熟念・省念・浄念・常念・情念・心念・信念・宸念・深念・軫念・塵念・精念・静念・専念・想念・俗念・存念・他念・丹念・断念・追念・通念・道念・入念・密念・無念・妄念・黙念・憂念・余念・理念・留念
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報