デジタル大辞泉
「怨」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
えん‐・ずる ヱン‥【怨】
〘他サ変〙 ゑん・ず 〘他サ変〙 うらみごとをいう。うらむ。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「まかでむとものせしを、まかでさせねば、いみじうえんず
らんかし」
[
語誌](1)平安時代中期・
後期の和文中に多用されるが、鎌倉時代以降はほとんど
用例が見られなくなる。
(2)
動作主体は、
三人称のみであって、
一人称・二人称の例がない点で
類義語の「うらむ」とは異なり、また、動作主体と動作対象との間に、親密な人間関係が存在することも特徴である。
(3)「うらむ」は、心の動きが意味の中心にあり、「怨ず」は
第三者の
他人に働きかける動作が意味の中心にある。
え‐・ず ヱ‥【怨】
※
土左(935頃)承平五年一月一八日「人みな、えあらで笑ふやうなり。うたぬし、いとけしきあしくてゑず」
えん・じる ヱンじる【怨】
〘他ザ上一〙 動詞「えん
ずる(怨)」の上一段化した語。
※桜の森の
満開の下(1947)〈
坂口安吾〉「女の怨
(ヱン)じる
言葉の
道理が男には呑みこめなかったのです」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報