懸想文(読み)ケソウブミ

デジタル大辞泉 「懸想文」の意味・読み・例文・類語

けそう‐ぶみ〔ケサウ‐〕【懸想文】

懸想気持ちをつづった手紙恋文艶書えんしょ
江戸時代正月に、京都などで懸想文売りが売り歩いたお札。恋文に似せて縁起を祝う文が書いてある。これを買うと良縁が得られるとされた。

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精選版 日本国語大辞典 「懸想文」の意味・読み・例文・類語

けそう‐ぶみ ケサウ‥【懸想文】

〘名〙
① 恋の思いを伝える文。恋する気持を書いた手紙。恋文。艷書
※能因本枕(10C終)二二「よろしくよみたりとおもふ歌を、人のがりやりたるに返せぬ。けさう文はいかがせん」
② 江戸時代、正月の元日から一五日の間に京都の町などで売られたおふだ。洗い米二、三粒を包んだ紙、または花の枝につけた紙に、恋文に似せて縁起を祝う文が書いてある。縁談、商売繁昌などの願いをかなえるものとされた。《季・新年》 〔俳諧・毛吹草(1638)〕
浮世草子好色一代男(1682)三「羽子板の絵も夫婦子あるをうらやみ、化想文(ケサウブミ)よむ女、男めづらかに思はるる」

けしょう‐ぶみ ケシャウ‥【懸想文】

〘名〙 =けそうぶみ(懸想文)〔伊京集(室町)〕

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