普及版 字通 「振(漢字)」の読み・字形・画数・意味
振
常用漢字 10画
[字訓] ふるう・ふる・すくう・おさめる
[説文解字]
[字形] 形声
声符は辰(しん)。辰は蜃の初文。その蜃肉・蜃器は呪器・祭器として祭儀に用いることがあった。〔説文〕十二上に「擧げて之れを救ふなり」(段注本)と振救の意とする。〔礼記、月令〕「乏を振(すく)ふ」は賑給の意で、賑と通用する。〔説文〕にまた「一に曰く、奮ふなり」とあり、これは鼓舞する意。軍が出行のとき奉ずる肉と関係があろう。振は辰をもつ意の字である。には魂振りとしての意味があったのであろう。帰還してに告げる礼を帰の礼という。〔詩、小雅、采〕「(軍)を振(をさ)むること(てんてん)たり」、また〔左伝、隠五年〕「三年にして治兵(演習)し、入りて振す」とは、その礼をいう。
[訓義]
1. ふるう、ふるいたつ、ふるいおこす、勇気づける、はげます。
2. うちふる、はらう。
3. 賑と通じ、すくう、たす、にぎわす。
4. おさめる、賑肉をかえす、軍をおさめる、ととのえる、すてる、とまる、やめる。
5. 振古、より、から。
6. 振振、仁厚のさま。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕振 フルフ・ウゴク・ウゴカス・ヲサム・シタガフ・スクフ・ヨル・ヒラク・スツ・ヨリ・トトノフ・ニギハフ 〔字鏡集〕振 テテハフ・ハジク・ウゴク・フルフ・スカフ・ヲサム・シタガフ・ヨル・トトノフ・スツ・スクフ・タスク・トラク・アク・ヨリ
[語系]
振・震・娠tjinは同声。みな振動の意がある。振に振救の意があり、また振旅のようにいうのは、肉による呪儀と関係があろう。辰は蜃zjin、も同声で、とは社肉をいう。
[熟語]
振衣▶・振威▶・振畏▶・振羽▶・振纓▶・振掖▶・振▶・振▶・振冠▶・振感▶・振起▶・振気▶・振奇▶・振飢▶・振窮▶・振救▶・振挙▶・振恐▶・振矜▶・振響▶・振驚▶・振玉▶・振懼▶・振敬▶・振拳▶・振古▶・振興▶・振毫▶・振困▶・振済▶・振作▶・振刷▶・振施▶・振錫▶・振粛▶・振恤▶・振▶・振女▶・振除▶・振懾▶・振慴▶・振振▶・振迅▶・振世▶・振贍▶・振藻▶・振貸▶・振滞▶・振鐸▶・振旦▶・振張▶・振剔▶・振滔▶・振▶・振盪▶・振動▶・振徳▶・振抜▶・振万▶・振播▶・振臂▶・振貧▶・振武▶・振撫▶・振怖▶・振風▶・振伏▶・振復▶・振幅▶・振憤▶・振袂▶・振民▶・振容▶・振踊▶・振耀▶・振翼▶・振賚▶・振理▶・振慄▶・振旅▶・振廩▶・振▶・振励▶・振鷺▶
[下接語]
威振・一振・気振・翕振・強振・響振・玉振・弘振・高振・刷振・声振・宣振・騰振・波振・不振・奮振・隆振
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報