精選版 日本国語大辞典 「暖・温」の意味・読み・例文・類語
あったか・い【暖・温】
〘形口〙 あったか・し 〘形ク〙 (「あたたかい(暖)」の変化した語)
① =あたたかい(暖)①
② =あたたかい(暖)②
※雑俳・柳多留‐七八(1823)「あったかい隠居懐炉も小判形」
③ =あたたかい(暖)③
※青べか物語(1960)〈山本周五郎〉留さんと女「留さんが少し頭のあったかいことや」
⑤ 男女の仲がよいさまである。熱い。
※生まざりしならば(1923)〈正宗白鳥〉「いやなことだね。お温(アッタ)かい所を見せつけられて」
あったか‐げ
〘形動〙
あったか‐さ
〘名〙
あったか‐み
〘名〙
あたたか・い【暖・温】
〘形口〙 あたたか・し 〘形ク〙
① 体に適度な温度が加わって心地よい。
(ロ) 体の一部で感じる物の温度が、熱すぎず冷たくもなく、快い程度に高い。「温かい御飯」
② 金銭が十分に、豊かにあるさま。
※咄本・軽口御前男(1703)三「『いつ見ても内があたたかさふな』といはるれば、下人いふやう『成ほどあたたかい』」
③ 思いやりや理解がこもっている。
あたたか‐げ
〘形動〙
あたたか‐さ
〘名〙
あたたか‐み
〘名〙
あたた・める【暖・温】
〘他マ下一〙 あたた・む 〘他マ下二〙
① 熱を加えて、温度を高くする。あたたかくする。あっためる。
※書紀(720)天武元年六月「乃ち三重郡家に到りて、屋一間(ひとつ)を焚きて、寒き者を熅(アタタメ)令む」
② 今までとぎれていた交際を再開する。
③ 他人の物を、人に知られないようにこっそり自分の物にしてしまう。
※Wee(1924)〈細田源吉〉「毎日胸の中であたためてゐた思ひだけは、そのまま蔵(しま)っておいた」
あたたまり【暖・温】
〘名〙 (動詞「あたたまる(暖)」の連用形の名詞化)
① あたたまること。また、そのような気。ぬくもり。暖気。
※史記抄(1477)一四「熨斗に湯を入たり、火を入たりなんどして、其あたたまりを以て、針線の縫のあとを失わうとてするぞ」
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「そのよい返事のあたたまりのさめぬうちに」
② ある人がその死後に及ぼす影響。
※甲陽軍鑑(17C初)品五二「義理深き剛の心有は、偏に信玄公の御威光強くまします御あたたまりにて」
あたたま・る【暖・温】
〘自ラ五(四)〙
① 熱を帯びる。あたたかくなる。
※千里集(894)「あくまでにみてる酒にぞ寒き夜は人の身までにあたたまりける」
※大鏡(12C前)六「こよなくあたたまりて、さむさもわすれ侍にき」
② (ふところがあたたかくなるの意から) 物や金銭が豊かになる。また、他動詞的に用いて、金品などを手に入れる。
※浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)下「わしら迄つらりっと三百宛あたたまった」
あったま・る【暖・温】
〘自ラ五(四)〙 (「あたたまる(暖)」の変化した語)
① =あたたまる(暖)①
※洒落本・福神粋語録(1786)廻り座敷「おらァもふせっかくあったまってゐるに、をきることはごめんだ」
② =あたたまる(暖)②
※洒落本・契情買虎之巻(1778)五「コレあったまるやうにもらいやうもしってゐるが、それもばらだ」
あたた‐け・し【暖・温】
〘形ク〙 暖かい。暖かそうである。《季・春》
※千里集(894)「あたたけき春の山べに花のみぞ所もわかず咲きわたりける」
あたた・む【暖・温】
〘他マ下二〙 ⇒あたためる(暖・温)
あたたか・し【暖・温】
〘形ク〙 ⇒あたたかい(暖)
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