枸橘(読み)カラタチ

デジタル大辞泉 「枸橘」の意味・読み・例文・類語

から‐たち【枸橘/枳殻】

ミカン科の落葉低木。高さ約2メートル。枝は緑色でとげがあり、葉は3枚の小葉からなる複葉。春、葉より先に白い5弁花が咲く。実は球形芳香があり、黄色に熟すが、酸味が強くて食べられない。漢方で未熟果皮を健胃剤とする。中国原産生け垣などにする。くきつきこく 花=春 実=秋》「―は散りつつ青き夜となるも/湘子」
[補説]書名別項→カラタチ
[類語]柑橘類蜜柑オレンジだいだい金柑

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精選版 日本国語大辞典 「枸橘」の意味・読み・例文・類語

から‐たち【枸橘・枳殻・枳】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「からたちばな(唐橘)」の略 )
  2. ミカン科の落葉低木。中国原産で、古くから日本で栽植される。幹は高さ二~三メートルになり、枝には稜角があり、やや扁平で、長さ三~六センチメートルの刺(とげ)が互生する。葉は互生し三小葉からなる複葉で、各小葉は卵形で縁に細かい鋸歯(きょし)があり、葉柄には狭い翼がある。晩春、葉に先だって径五センチメートルほどの白色の五弁花が葉腋(ようえき)に単生する。果実は径約五センチメートルの球形で黄熟して芳香があるが、食べられない。漢方で乾燥して健胃薬にする。古くから生垣に用いられる。きこく。

▼からたちの花《 季語・春 》

▼からたちの実《 季語・秋 》

  1. [初出の実例]「枳(からたち)の棘原(うばら)苅り除(そ)け倉立てむ屎(くそ)遠くまれ櫛造る刀自」(出典:万葉集(8C後)一六・三八三二)
  2. 「枳(カラタチ)に木がらしいたき心かな〈巴風〉」(出典:俳諧・続虚栗(1687)冬)
  3. ( カラタチの花ことば、「わたしは胸を痛めています」によっていう ) 女学生用語で、胸をわずらっている人。肺病の人。〔モダン用語辞典(1930)〕
  4. 植物さるとりいばら(菝葜)」の異名
    1. [初出の実例]「菝葜 和名さるとりうはら 又和さんきらいと云、近江讚岐方言からたち」(出典:物類品隲(1763)三)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「枸橘」の解説

枸橘 (カラタチ・カラタチバナ;クキツ)

学名Poncirus trifoliata
植物。ミカン科の落葉低木・小高木,園芸植物

枸橘 (カラタチ)

植物。サルトリイバラ別称

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普及版 字通 「枸橘」の読み・字形・画数・意味

【枸橘】くきつ

からたち。

字通「枸」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の枸橘の言及

【カラタチ(枸橘)】より

…カラタチやミカン類の成熟直前の果実を輪切りしたものを枳殻(きこく)と称し,薬用(健胃,利尿)とする。またカラタチの未熟果を乾燥したものを枸橘(くきつ)と言い,同様に薬用とする。熟果は飲料にし,マーマレードをつくることもある。…

※「枸橘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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