小説家。長崎市に生まれる。朝鮮の京城中学から旧制第一高等学校理科に入るが、小説がいかにあるべきかを追求するジッドに興味をもち、また禅や華厳(けごん)経の世界に近づき、中退。横光利一(りいち)の知遇を得、その推薦で1934年(昭和9)『東京日日新聞』に『酩酊船(よいどれぶね)』を連載、注目される。これは小説方法論的小説ともいうべきもので、小説を論理の実践とするその姿勢は、のちに至るまで一貫している。檀一雄(だんかずお)、太宰治(だざいおさむ)らと『青い花』に参加、しかし、まもなく東大寺の上司海雲(かみつかさかいうん)を頼って奈良に赴き、さらに各地を転々とする生活を始めるが、その間も小島信夫(のぶお)ら後輩作家との文学的交遊は絶えなかった。73年(昭和48)曽遊(そうゆう)の地庄内(しょうない)地方を舞台にした清冽(せいれつ)な作品『月山(がっさん)』で文壇に再登場、芥川(あくたがわ)賞を受賞して61歳の新人、幻の作家の復活とジャーナリズムをにぎわした。小説集に『鳥海山』(1974)、長編『われ逝(ゆ)くもののごとく』(1987)、エッセイ集『意味の変容』(1984)、『マンダラ紀行』(1986)など。
[沖山明徳]
『『月山』(文春文庫)』
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