国の予算編成に先立って、各省庁が必要だと判断した事業の経費を見積もって財務省に要求する手続き。政府は例年、要求額に一定の歯止めをかけるため概算要求基準を7月ごろに決める。この基準に沿って各省庁が要求内容を8月末までに固める。その後、財務省が各省庁と折衝して要求内容を査定し、年末の予算案決定に向けて必要額を詰める。事業内容が詰まっておらず政府内や与党との調整が必要な場合に、例外的に金額を示さない「事項要求」を認める項目もある。
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日本政府の各省庁が財務省に対し、翌年度の政策を実行するために必要なおおまかな予算を要求すること。歳入、歳出、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為の見積りからなり、財政法第17条に基づき、毎年8月末までに財務省へ提出しなくてはならない。歳出額が野放図(のほうず)に膨らむのを抑制するため、財務省はあらかじめ概算要求額の上限となる概算要求基準(シーリングceiling)を各省庁に提示し、これに沿って各省庁が概算要求を行う。財務省は、各省庁から提出された概算要求に盛り込まれた政策や経費について、ひとつひとつ費用対効果を考慮しながら精査・削減したうえで、各省庁の予算を積み上げて翌年度政府予算案を作成する。なお民主党に政権交代した2009年(平成21)、鳩山由紀夫(はとやまゆきお)政権は「官僚主導の画一的な予算配分を見直す」として概算要求基準を撤廃したが、要求額が増大して予算編成に支障をきたしたため、翌2010年の菅直人(かんなおと)政権は概算要求基準を復活した。
[矢野 武 2015年5月19日]
(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2007年)
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