海外渡来銭(読み)かいがいとらいせん

精選版 日本国語大辞典 「海外渡来銭」の意味・読み・例文・類語

かいがいとらい‐せんカイグヮイ‥【海外渡来銭】

  1. 〘 名詞 〙 平安末期から江戸初期に至る約五〇〇年間に国外から移入された銭貨。当時、日本では中央政府による銭貨鋳造が中絶していたため、これら移入された銭は、通貨としてそのままの状態で使われた。これらはすべて円形方孔、表面に中央の孔をはさんで四文字を置き、径寸八分(約二四ミリメートル)、目方一匁(約三・七五グラム)と形状外観ともに変わりなく、区別なしに日本の流通財としての使命を果した。その内容は中国銭では北宋時代のものが圧倒的に多いが、その種別は前漢の半両以下、唐朝から明朝に至る銭貨のすべてにわたっており、朝鮮銭では高麗朝の諸銭と李朝初期の銭貨、安南銭も歴代諸銭を網羅している。これらの渡来銭は江戸時代に入っても使われていたが、徳川幕府による統一銭貨である「寛永通宝」銭の鋳造発行量の充実により、法的には寛文一〇年(一六七〇)にようやく通用が禁止されるに至った。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android