海東郷(読み)かいとうごう

日本歴史地名大系 「海東郷」の解説

海東郷
かいとうごう

現小川町の東部すな川上流域の西海東にしがいとう・東海東・北海東地域を総称する中世郷。中世には八代郡のうち八代北やつしろきた郷に属した。建久五年(一一九四)片寄せして確立された甲佐こうさ社領のうちで、「南小河加海頭并国領薗肆箇所定(同六年三月日「甲佐社領立券解案」阿蘇家文書)とあり、建長三年(一二五一)甲佐社領の明細のなかでも「田数参百捌拾弐町玖段四杖除海頭廿五丁九反一丈定(同年九月二三日「甲佐社領実検帳写」同文書)とあるように、南小河みなみおがわに接しつつも、他の社領と異なる扱いを受けていた。西海東にある海東阿蘇神社は、当郷が甲佐社領化したことに伴い郷社として祀られたものであろう。

当郷を歴史上著名にしたのは、建治元年(一二七五)一〇月肥後国御家人竹崎季長が鎌倉に出向き苦労の末、当郷地頭職を文永の役の恩賞として与えられ、翌年一月入部し(蒙古襲来絵詞)、その経営の実をあげたからである。季長以前は甲佐社領として北条氏が地頭職を有していたと思われ、季長の権限もこれを継承するものであったろう。その後ももちろん甲佐社領であり、阿蘇本末社領預所としての北条氏の支配は依然存続したはずである。季長支配下の同郷の実状は、正応六年(一二九三)の二通の竹崎季長置文によって知られる(一通は同年一月二三日の「置文」秋岡氏所蔵文書、もう一通は同日付ながら正和三年一月一六日に書改められた「置文」塔福寺文書である)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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