添える(読み)ソエル

デジタル大辞泉 「添える」の意味・読み・例文・類語

そ・える〔そへる〕【添える/副える】

[動ア下一][文]そ・ふ[ハ下二]
主となるもののそばにつける。補助として付け加える。「贈り物に手紙を―・える」「薬味を―・える」「介護の手を―・える」
引き立たせるために付け加える。「興を―・える」「錦上花を―・える」
付き添わせる。付き従わせる。「旅行に案内役を―・える」
なぞらえる。
「たならひ雪も降らぬか梅の花咲かぬがしろに―・へてだに見む」〈・一六四二〉
加える[用法]
[類語]加える足す加わる付け足す付け加える添加付ける付する継ぎ足す花を添える添付付加肉付け加味追加割り増し

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「添える」の意味・読み・例文・類語

そ・えるそへる【添・副・擬】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]そ・ふ 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙 前からあるものに、別のものがさらに加わる。増して多くなる。続けてふえる。伴う。
    1. [初出の実例]「貝をえとらず成にけるよりも、人の聞き笑はんことを日にそへて思ひ給ければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「人なみなみにもなり、少しおとなびんにそへても、又、並ぶ人なくあるべきやう」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]そ・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 あるものに対して、新しく別のものをつけ加える。
    1. つけ加える。つけ足す。補う。
      1. [初出の実例]「はじ弓を 手握り持たし 真鹿児矢を 手挟み蘇倍(ソヘ)て 大久米の ますら猛男を 先に立て」(出典万葉集(8C後)二〇・四四六五)
      2. 「木曾義仲願状にそへて此社にこめられ侍よし」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)太田神社)
    2. つき従わせる。付き添わせる。いっしょにやる。伴わせる。
      1. [初出の実例]「後には、其の八はしらの雷神に、千五百の黄泉軍(よもついくさ)を副(そへ)て追はしめき」(出典:古事記(712)上)
      2. 「女も、いと怪しく、心得ぬ心地のみして、御使に人をそへ、あか月の道をうかがはせ、御ありか見せむと尋ぬれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    3. 近くに寄せる。身近に寄せる。身につける。
      1. [初出の実例]「しきたへの 手枕まきて 剣大刀(つるぎたち) 身に副(そへ)寝けむ 若草の その夫(つま)の子は」(出典:万葉集(8C後)二・二一七)
    4. なぞらえる。よそえる。違っているものを、かりにそれと見立てる。たとえる。擬す。よそう。
      1. [初出の実例]「たな霧らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)に曾倍(ソヘ)てだに見む」(出典:万葉集(8C後)八・一六四二)
      2. 「かたじけなきことにそへては、せきやらずおしあてたるぞ、さるきはに、物のあはれしるかたらひは、げにあはれなりける」(出典:有明の別(12C後)一)

添えるの補助注記

( 1 )上代特殊仮名遣では「ソ」は甲乙両類があるが、乙類は「擬す、なぞらえる」の意の下二段動詞「そふ」および「よそふ」に見られ、副、添の意は、一部地名に乙類のものも見えるものの甲類が多く見られる。従って、[ 二 ]の擬す、なぞらえるの意の「そふ」は添、副の意の「そふ」とは本来別語であるとも考えられる。
( 2 )室町時代ごろからヤ行にも活用した。→そゆ(添)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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