デジタル大辞泉
「滅」の意味・読み・例文・類語
めつ【滅】
1 仏語。
㋐四相の一の滅相。「滅に入る」
㋑煩悩や苦悩の消滅。「苦集滅道」「滅諦」
㋒悟りの境地。涅槃。滅度。
㋓死ぬこと。特に、釈迦の死。仏滅。
2 滅びること。消え失せること。消滅。
「一切の法は久しからずして皆、―有り」〈今昔・三・二九〉
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めっ‐・する【滅】
[1] 〘自サ変〙 めっ・す 〘自サ変〙
① ほろびる。また、死ぬ。
※
正法眼蔵(1231‐53)弁道話「かの霊性は、この身の滅するとき、もぬけてかしこにうまるるゆゑに」
※増補本増鏡(1368‐76頃)二〇「世のすでにめっするにやとおぼえしとこそ人はかたりつれ」
② 消える。消えてなくなる。
※今昔(1120頃か)一五「今、其の火既に滅して」
※発心集(1216頃か)七「大夫阿闍梨実印と云僧の
無始の罪障、悉
(ことごとく)滅
(メッ)するなりと」
③ こわれる。
[2] 〘他サ変〙 めっ・す 〘他サ変〙
① ほろぼす。つぶす。
※今昔(1120頃か)九「我れ、今、身に
皇帝と成て、
仏法を滅して、極て大苦を受く」
② 消す。なくす。
※今昔(1120頃か)三「其に依て此の度其の罪を滅しつる也」
※
小学読本(1884)〈若林虎三郎〉四「風吹き来りて燈火を滅しければ」
めつ【滅】
〘名〙
① なくなること。ほろびること。
※今昔(1120頃か)三「一切の法は不久ずして皆、滅有り」
② 仏語。
※正法眼蔵(1231‐53)海印三昧「この滅に
多般の手眼を荘厳せり。〈略〉いはゆるかくのごとくの許多手眼、しかしながら滅の
功徳なり」
(ロ) 死ぬこと。入寂。入滅。
※
法華義疏(7C前)一「第四従
二日月燈明仏於六十少劫
一以下。明
二唱
レ滅義応
一レ同。今釈迦亦応
レ有
レ唱
レ滅」
(ハ) 四相の一つ。滅相。
(ニ)
四諦の一つ。煩悩や苦悩が消滅することを理想涅槃の境地とするもの。
ほろび【滅】
〘名〙 (動詞「ほろびる(滅)」の
連用形の
名詞化) ほろびること。衰え絶えること。消え去ること。滅亡。
衰亡。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報