有機化合物以外の化合物をいう。すなわち、炭素以外の元素だけからなる化合物、および炭素の化合物でも比較的簡単なものの総称。炭素の化合物は一般に有機化合物に分類されるが、そのなかでは比較的簡単な化合物、たとえば酸化物の一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2、二酸化三炭素C3O2など、シアン(CN)2やシアン化カリウムKCNなどのシアン化物、シアノ錯塩K4[Fe(CN)6],K3[Fe(CN)6]など、チオシアン酸塩NaSCN,NH4SCN、炭酸塩K2CO3,KHCO3,Na2CO3などがそうで、これらは無機化合物として取り扱われるのが普通である。ただ、たとえばシュウ酸塩Na2C2O4,K2C2O4や、酢酸塩CH3COONaなどのように、どちらにも分類されるようなものもあって、区別がむずかしいこともある。また四塩化炭素CCl4や二硫化炭素CS2のように簡単な化合物でも、その性質が有機化合物的であるものは有機化合物に分類されることもあり、その区別は厳密なものではない。また有機金属化合物については、これらをどちらに分類するかというよりは、無機化合物と有機化合物とは独立した第三の領域の分類としたほうがよいと考えられてきている。
[中原勝儼]
一般に有機化合物と呼ばれるものを除いたすべての化合物をいう。すなわち,簡単な炭素化合物ならびに炭素以外のすべての元素の組合せになる化合物をいう。無機化合物のなかに含まれる炭素化合物としては,簡単な酸化物(CO,CO2,C3O2など),シアンおよびシアン化物((CN)2,HCN,KCNなど),シアノ錯塩(K4Fe(CN)6など),チオシアン酸塩(HNCS,NaSCNなど),炭酸塩(K2CO3,NaHCO3など)がある。塩化物としてのCHCl3やCCl4,硫化物としてのCS2などは無機化合物とも,また場合によっては有機化合物ともみなされる。ギ酸塩,酢酸塩,シュウ酸塩などは有機化合物と考えられている。
執筆者:大瀧 仁志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
有機化合物以外のすべての化合物の総称.有機化合物は炭素の化合物とされているが,少数の簡単な炭素化合物,すなわち,CO,CO2,炭酸塩,C2N2,MⅠCN,MⅠSCNなどは慣用上無機化合物に含めて扱うことが多い.有機化合物は主として共有結合性の分子であるのに対し,無機化合物は成分元素の種類が多いので化合物のタイプも多様である.非金属元素相互の化合物は共有結合性の分子が多い.金属元素と非金属元素との化合物はイオン結合性が強い.また,金属間化合物は金属結合性である.そのほか,無機化合物には,金属錯体,高次化合物,無機高分子化合物などが含まれる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加