煮える(読み)ニエル

デジタル大辞泉 「煮える」の意味・読み・例文・類語

に・える【煮える】

[動ア下一][文]に・ゆ[ヤ下二]
なべなどの水や汁が十分に熱せられ、中に入れた食物によく熱が通って食べられるようになる。「芋が―・える」

㋐水に熱が加えられて熱い湯になる。沸騰する。「―・えた湯で殺菌する」
固体が、熱が加えられたために、熱い液状になる。「コールタールが―・える」
はげしく怒る。怒りのために心の平静を失う。「ごうが―・える」「―・える腹をこらえる」
話がまとまる。手を打つ。
「サァ話しが段々―・えて来た」〈露伴・日ぐらし物語〉
あわてふためいて混乱する。大騒ぎをする。
「勝二郎は追放八幡は―・える」〈浄・淀鯉
[類語]炊ぐ炊く煮る煮付ける煮染める煮詰める煮込む煮出す煮上がる煮返す煮立つ煮え立つ煮えたぎる煮え返る煮こぼれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「煮える」の意味・読み・例文・類語

に・える【煮】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ヤ下一) 〙
    [ 文語形 ]に・ゆ 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙
  2. 水が沸騰し、その中に入れた物に熱が通る。特に調理で、汁が沸きたち、中に入れた食物に味などがしみわたり、食べられるようになる。
    1. [初出の実例]「むかしよりあみだほとけのちかひにてにゆるものをばすくふとぞしる」(出典:古本説話集(1130頃か)二五)
  3. 水が沸騰して湯になる。
    1. [初出の実例]「にゆるちゃの湯は面白や」(出典:虎明本狂言・通円(室町末‐近世初))
  4. ひどく腹が立つ。はなはだしく怒る。にえかえる。
    1. [初出の実例]「ゆうべん様はふみころすとてにへさっしゃる」(出典:浄瑠璃・心中万年草(1710)中)
  5. 上を下へと大騒ぎする。ごったがえす。混雑する。にえかえる。
    1. [初出の実例]「かぶろの小伝が見へぬと云て、内はにへます」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)中)
  6. 沸騰したかのように、白い泡が立つ。
    1. [初出の実例]「真白に泡立ち滾(ニ)ゆる汀の岩端から」(出典青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)
  7. 話がまとまる。結論に達する。
    1. [初出の実例]「正直な者同志談合煮ぬ也」(出典:雑俳・紀玉川(1819‐25)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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