出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
福井県三方上中(みかたかみなか)郡若狭町(わかさちょう)南部の地区。九里半越(ごえ)といわれた若狭街道の宿駅。近江(おうみ)(滋賀県)国境に近く、軍事、経済上の要衝として重きをなし、かつて蔵屋敷、陣屋、関所、番所、町奉行所(まちぶぎょうしょ)が置かれた。現存する町並みにも昔日のおもかげをとどめ、1996年(平成8)に重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
[印牧邦雄]
朝鮮半島、李朝(りちょう)前期の16世紀ころに焼造された高麗茶碗(こうらいぢゃわん)の一種。「こもがえ」ともいう。この名称は、室町時代以来の対日貿易港のあった慶尚(けいしょう)南道の洛東江(らくとうこう)に臨む港、熊川の地名に由来するらしく、この港から送られてくる茶碗の一手を熊川とよんだものであろう。腰は深く、口縁が端反(はぞり)となり、全体に量感が備わっているのが特色で、大きな高台(こうだい)を削り出し、見込底には鏡とよぶ丸い窪(くぼ)みが削り出されてある。釉(うわぐすり)は白色を基調として黄、灰みを帯びている。作調によって真(ま)熊川、鬼(おに)熊川、絵熊川、紫(むらさき)熊川、滑(ぬめり)熊川などに分けられている。
[矢部良明]
…古くから開けた地で,4~5世紀の古墳が多く,西塚,上の塚,中の塚,上船塚,下船塚の5基の前方後円墳は史跡に指定されている。交通の要衝にあり古代から京都との交流が盛んで,若狭街道沿いの熊川は宿場町として発展,江戸時代には小浜藩の口留番所が置かれた。現在も街道筋は往時の面影を残している。…
※「熊川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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