爪弾(読み)つまはじき

精選版 日本国語大辞典 「爪弾」の意味・読み・例文・類語

つま‐はじき【爪弾】

〘名〙
① 手の人さし指か中指の先端を親指の腹にあて強くはじいて音を立てる動作。
(イ) 思う通りにならないとき、心にかなわぬようなときの気持、また、軽蔑・非難などの気持を表わす。また、他を嫌って排斥することをいう。つまはずれ。
※土左(935頃)承平五年一月二七日「ひひとひ、かぜやまず。つまはじきしてねぬ」
※文学者となる法(1894)〈内田魯庵〉四「甚だ生意気なる辛抱(がまん)出来ぬ文士なりと爪弾(ツマハヂ)きせられ」
(ロ) 仏語。法会・修法などで行なう行為。歓喜承服、あるいは警告や許可などの意を表わす。弾指(だんし)
※俳諧・葛の松原(1692)「散花や跡はあみだの爪はじき〈楚江〉」
指先を親指の腹にあててから弾いたその爪先でものを打つこと。
※歌舞伎・毛抜(1742)「殺す事は扨置、爪はじきもあてる事のならぬ万兵衛」

つめ‐びき【爪弾】

〘名〙 琴・三味線などの弦楽器を、撥(ばち)などを使わないで爪でひくこと。つまびき。特に小唄の三味線はこのひき方が本格となっており、「つまびき」とはいわない。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「女房五大力の爪弾(ツメビキ)を聴居(きいて)るもヤンヤな沙汰ぢゃアねへ」

つま‐びき【爪弾】

〘名〙 琴・三味線などを指先ではじいて鳴らすこと。つめびき。
源氏(1001‐14頃)紅梅「つまひきに、いとよく合はせて、ただ少しかきならい給ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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