デジタル大辞泉
「独立」の意味・読み・例文・類語
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どく‐りつ【独立】
- 〘 名詞 〙 ( 「りつ」は「立」の慣用音 )
- ① 他に束縛されたり、支配を受けたりしないで、自身の力で行動すること。
- [初出の実例]「学者は独立・特行、何をも頼むことはなし」(出典:学談雑録(1716頃))
- [その他の文献]〔易経‐大過卦〕
- ② 個人が一家をかまえ、生計をたて、完全に私権行使の能力を持つ状態になること。
- [初出の実例]「郎が父元某店の傭夫(〈注〉やとひもの)と為り、〈略〉終に独立の肆店を開く」(出典:東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉二)
- ③ 一国または団体が他から支配されることなく完全にその権限を行使しうる状態になること。
- [初出の実例]「世界中の国々相分れて各独立の体を成せば」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一)
- [その他の文献]〔荀子‐仲尼〕
- ④ 他のものから離れて立つこと。また、他のものとはっきり別になっていること。
- [初出の実例]「二階には見晴の好い独立の部屋が幾個(いくつ)もあったが」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉二三)
独立の補助注記
「ドクリュウ」の読みが確認できる例を除き、本項の用例としてここにまとめた。
独立の語誌
( 1 )「立」は漢音、呉音ともにリフで、「独立」の読みは、古くはドクリュウであった。中世後期から近世前期にかけての節用集(文明・易林・書言)には「ドクリツ」とあるが、キリシタンが作成した漢字辞書である「落葉集」には「ドクリウ」とあり、また近世期の作品にも「ドクリウ」のかなが付されている。
( 2 )明治期に多数刊行された漢語辞典を見渡すと、明治二〇年(一八八七)までは「ドクリツ」「ドクリュウ」がともに見られるが、二一年以降刊行のものはすべて「ドクリツ」である。従ってドクリツの読みが一般化したのは明治二〇年以降と考えられる。
ひとり‐だち【独立】
- 〘 名詞 〙
- ① 子どもなどが、助けを借りたりしないで自分の力だけで立ち上がること。
- [初出の実例]「宮、をかしげにて、ひとりだちし、歩みはじめ給ふほどなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
- ② ほかからの援助を受けないで、自分だけの力でやってゆくこと。それまで他の者の下にいた人が、新たに自分自身で事業などを始めること。一本立ち。どくりつ。
- [初出の実例]「同等の自主自立(〈注〉ヒトリダチ)の権」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一)
- ③ 行動をともにする仲間や味方のないこと。ひとりぼっち。孤立。
- [初出の実例]「友なうてひとりたちにして名をあらわし功をなすことはない者なり」(出典:玉塵抄(1563)三八)
- ④ ひとりずつ立ち去ること。
- [初出の実例]「独立ちに皆立て去にけり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
- ⑤ 他のものとはっきり別になっていること。どくりつ。
- [初出の実例]「第三句不レ喚、第四句而述二其心一也。第三はひとりたちに、第四は自然に来る也」(出典:三体詩幻雲抄(1527))
どく‐りゅう‥リフ【独立】
- 〘 名詞 〙 ( 「りゅう」は「立」の呉音・漢音、「りつ」は慣用音 ) =どくりつ(独立)
- [初出の実例]「為レ吏為レ儒報二国家一、百身独立一恩涯」(出典:菅家文草(900頃)三・相国東閤餞席)
- 「江城の未申四こくの辺に〈略〉さる独立(ドクリウ)の宗匠あり」(出典:洒落本・売花新駅(1777)発端)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
独立 (どくりつ)
independent
数学用語。偶然現象を数学的に記述する場合,根元事象の集りである事象Aとその確率P(A)を考える。二つの事象A,Bは,両者がともに起こる確率P(A∩B)がそれぞれの確率の積P(A)・P(B)に等しいとき,互いに独立であるといい,そうでないときは互いに従属であるという。いくつかの事象A1,A2,……,Anを考えるときは,その中の任意の部分Ap,Aq,……,Arに対してP(Ap∩Aq∩……∩Ar)=P(Ap)P(Aq)……P(Ar)が成り立つときA1,A2,……,Anは独立であるという。n回の銅貨投げや,つぼから球を復元抽出でとり出す場合などのベルヌーイ試行で,各回の結果を表す事象はこの例である。確率変数列X1,X2,……,Xnについて,各Xiの定める事象Aiがどのように選ばれてもA1,A2,……,Anが独立になるとき,それらの変数は独立であるという。このときは各偶然性のかかわりあいがなくなる極端な場合で扱いやすい。数理統計学では,標本は確率変数列と考えられるが,それらが独立な場合が重要である。
執筆者:飛田 武幸
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独立
どくりゅう
(1596―1672)
江戸初期に来日した中国の禅僧。浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう)仁和の人。俗姓は戴(たい)、名は笠(りゅう)、字(あざな)は曼公(まんこう)。25歳から中国各地を転々として修業のかたわら医術を習得。一方、30歳前後には詩人としても名をあげたが、明(みん)の滅亡を慨嘆して故国を捨て1653年(承応2)長崎に来航した。翌1654年来朝の黄檗(おうばく)宗の高僧隠元隆琦(いんげんりゅうき)に感化され、58歳で帰依(きえ)して得度、法名を性易(しょうえき)、字を独立と改めた。隠元に随行して大坂、江戸と回ったが病のため長崎に帰り、以後は岩国や小倉(こくら)など西国で活躍、寛文(かんぶん)12年77歳で小倉に没した。書は師隠元の影響を受け、いわゆる黄檗流の名手として名高い。しかしそれには、明の王寵(おうちょう)(1494―1533)の書を学び、それを凌駕(りょうが)するまでに明代書法を堅実に習得していたという基礎があった。彼の書は高玄岱(こうげんたい)(深見玄岱。1648/1649―1722)、北島雪山(きたじませつざん)に継承されて唐様(からよう)として発達、江戸前期の書壇に多大な影響を与えた。また、篆刻(てんこく)の正統的技術を日本に初めて伝えており、彼に遅れて来朝の心越(しんえつ)(1639―1695)とともに日本の篆刻の始祖に数えられる。
[名児耶明 2017年3月21日]
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独立
どくりつ
independence
国家が他のすべての国家の制御,支配から自由である権利をさし,生存や平等の権利と並んで国家の基本的権利とみなされる。国内問題,外交政策を自国政府の完全なコントロールのもとにおくことができなければ国家は存在しないことになるが,現実には,そのようなコントロールを部分的ないしは完全に失っていても国家と認められるケースがある。国際政治において独立とは,従来植民地や属領の地位にあった地域,あるいはある国の一地方であった地域が,新たに主権国家として発足することを特にさす。前者の例がより一般的であるが,後者の例としては,バングラデシュのパキスタンからの分離独立がある。独立の前提となるのは,一定領域内の住民が独立の政治社会を形成したいという意思をもつこと (ナショナリズム) と,その意思の表明が国際的に承認されることであるが,現実の支配国がそれを認めない場合には独立戦争に発展することが多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
普及版 字通
「独立」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の独立の言及
【独立共和派】より
…フランスの政党。正称は独立共和主義者全国連盟Fédération nationale des républicains indépendants。第四共和政の自由主義的右派議員グループの流れをくみ,そのうちの一部が1966年ジスカール・デスタンV.Giscard d’Estaingを中心に結成した。…
【確率変数】より
…これをXの分布という。二つの確率変数X,Yは,もしP(X-1(B)∩Y-1(C))=P(X-1(B))・P(Y-1(C))が任意のB,Cについて成り立つとき独立であるという。三つ以上の確率変数についても同様に独立の概念が定義される。…
※「独立」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」