理解(読み)リカイ

デジタル大辞泉 「理解」の意味・読み・例文・類語

り‐かい【理解】

[名](スル)
物事道理筋道が正しくわかること。意味内容をのみこむこと。「理解が早い」
他人の気持ちや立場を察すること。「彼の苦境理解する」
了解2」に同じ。
了解りょうかい[用法]
[類語]分かる知る把握解釈分かりのみ込み知識承知認識学ぶ物分かり聞き分けわきまえわきまえる分別ふんべつ了知存知聞知合点了解自覚納得早分かり早飲み込み早合点話せる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「理解」の意味・読み・例文・類語

り‐かい【理解】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 内容、意味などがわかること。他人の気持や物事の意味などを受けとること。相手の気持や立場に立って思いやること。了解。
    1. [初出の実例]「Brahma なる神の形ちは四頭四手なりと言へり。〈略〉従来 incomprehensible なる理解すべからざるものなり」(出典:百学連環(1870‐71頃)〈西周〉二)
    2. 「甘木先生の名医といふ事も始めて理解する事が出来たんだが」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)
    3. [その他の文献]〔宋史‐林光朝伝〕
  3. 道理。わけ。また、わけを話して聞かせること。説得すること。
    1. [初出の実例]「安徳寺が理解によって」(出典:浄瑠璃・絵本太功記(1799)五日)
    2. 「何しろ廉蔵を理解して金を出させませう」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉投機)
  4. りょうかい(了解)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「理解」の意味・わかりやすい解説

理解
りかい
Verstehen ドイツ語

了解ともいい、一般的にはある種の認識の仕方、すなわち対象として与えられたものについて、そこに含まれている内的な意味や本質を把握することである。したがって理解は、知覚直観や表象などによる事象の認知をあらかじめ前提するにしても、それらとは異質の働きであり、また現象相互間の因果的な法則をとらえようとする説明という認識様式からもしばしば区別される。この概念を、生の哲学の立場から精神科学方法論のなかで明確にしたのはディルタイであり、彼は言語、芸術、制度などすべての歴史的、文化的な所産を精神的生の客観化されたものとみなし、理解を、これら感性的、外的に与えられた表現媒介として生の連関を追体験とともに内的に把握することと規定して、解釈学的方法の中心に置いた。またこの概念は、マックスウェーバーの理解社会学、ヤスパース了解心理学ハイデッガー基礎的存在論、ガダマーの哲学的解釈学などにおいて、おのおのの特色をもって使用されている。

伊東祐之

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「理解」の読み・字形・画数・意味

【理解】りかい

はっきりわかる。〔宋史、儒林三、林光朝伝〕光~六經にじ、百氏に貫(なら)ふ。~四方の來(きた)り學ぶ慮(むりよ)數百人。~未だ嘗(かつ)て書をはさず、惟だ學に口授し、之れをして心理解せしむるのみ。

字通「理」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「理解」の意味・わかりやすい解説

理解
りかい
understanding; Verstehen

ドイツの生の哲学者 W.ディルタイが哲学的に基礎づけた解釈学の概念で,了解とも訳される。最初,彼は精神科学の方法論として説明的,構成的心理学に対して記述的,分析的心理学を提唱したが,のちそれが解釈学的に深められて,体験,表現,理解という図式をなした。理解とは,生の表現の把握,つまり生の客観化されたものの把握であり,それは単なる悟性的認識,感性的認識以上のものを意味している。彼の影響を受けた E.シュプランガーらによる「了解心理学」 verstehende Psychologie,ハイデガーの実存範疇としての「了解」がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の理解の言及

【説明】より

…もしこの種の説明が実は説明ではないとすれば,例えば心理学における理論についての大脳生理学の理論による説明などは,実は説明ではないということになり,その影響するところはきわめて大きい。【黒崎 宏】
[説明と理解]
 日本語では区別がつけがたいが,人文科学においてテキストやその背景をなす心理や精神を説明する行為は,〈理解〉または〈了解〉(英語understanding,ドイツ語Verstehen)と呼ばれることが多い。テキストを〈わかる〉もしくは〈わからせる〉ことである。…

【分類】より

…こうして生活の必要から環境の諸物を分類していったと思われるのであって,現在でも生活様式の相違によって分類体系は異なっていることが確認される。このように事物を分類して認識することが〈理解〉といわれるのであって,〈分けること〉が〈わかること〉の第一歩であった。〈理解〉を意味する英語のcomprehensionも事物を一定の分類の枠に包摂することからきている。…

【了解】より

…〈理解〉という訳語もある。〈人を理解する〉〈人の言うことがわかる〉という意味での了解は,ドイツ語ではごく日常的な動詞である。…

※「理解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android