了解ともいい、一般的にはある種の認識の仕方、すなわち対象として与えられたものについて、そこに含まれている内的な意味や本質を把握することである。したがって理解は、知覚や直観や表象などによる事象の認知をあらかじめ前提するにしても、それらとは異質の働きであり、また現象相互間の因果的な法則をとらえようとする説明という認識様式からもしばしば区別される。この概念を、生の哲学の立場から精神科学方法論のなかで明確にしたのはディルタイであり、彼は言語、芸術、制度などすべての歴史的、文化的な所産を精神的生の客観化されたものとみなし、理解を、これら感性的、外的に与えられた表現を媒介として生の連関を追体験とともに内的に把握することと規定して、解釈学的方法の中心に置いた。またこの概念は、マックス・ウェーバーの理解社会学、ヤスパースの了解心理学、ハイデッガーの基礎的存在論、ガダマーの哲学的解釈学などにおいて、おのおのの特色をもって使用されている。
[伊東祐之]
字通「理」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…もしこの種の説明が実は説明ではないとすれば,例えば心理学における理論についての大脳生理学の理論による説明などは,実は説明ではないということになり,その影響するところはきわめて大きい。【黒崎 宏】
[説明と理解]
日本語では区別がつけがたいが,人文科学においてテキストやその背景をなす心理や精神を説明する行為は,〈理解〉または〈了解〉(英語understanding,ドイツ語Verstehen)と呼ばれることが多い。テキストを〈わかる〉もしくは〈わからせる〉ことである。…
…こうして生活の必要から環境の諸物を分類していったと思われるのであって,現在でも生活様式の相違によって分類体系は異なっていることが確認される。このように事物を分類して認識することが〈理解〉といわれるのであって,〈分けること〉が〈わかること〉の第一歩であった。〈理解〉を意味する英語のcomprehensionも事物を一定の分類の枠に包摂することからきている。…
…〈理解〉という訳語もある。〈人を理解する〉〈人の言うことがわかる〉という意味での了解は,ドイツ語ではごく日常的な動詞である。…
※「理解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
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