元来ドイツの地理学者ラッツェルのつくりだしたことばといわれるが、現在ではいろいろな分野で使われており、日常語としても、個人ないし集団の日常生活が営まれている環境の行動範囲をさす用語として、しばしば使われている。心理学では、ドイツの心理学者レビンが、彼のトポロジー心理学の主要な概念として導入した。レビンは、人の行動はその人の諸条件とその人が置かれている環境の諸条件との交互作用によって規定されるとみるが、人と環境の諸条件はばらばらに作用するのではなく、力動的なシステムとして作用する。この人の行動をそのときどきに規定する力動的なシステム全体を、レビンは生活空間とよび、行動の法則の所在をそこに求めたのである。なお、この意味での生活空間は、その外殻で客観的な物理的・社会的環境と接触し、それらによって規制されるわけで、この点を考究する研究分野として、晩年のレビンは「心理学的生態学」を考えた。
[辻 正三]
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