発電(読み)はつでん(英語表記)power generating

精選版 日本国語大辞典 「発電」の意味・読み・例文・類語

はつ‐でん【発電】

〘名〙 電気を発生させること。水力・火力・原子力などにより行なう。
※改正増補物理階梯(1876)〈片山淳吉〉下「其発電し易き物を電気を発する体と云ひ」

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デジタル大辞泉 「発電」の意味・読み・例文・類語

はつ‐でん【発電】

[名](スル)電気を起こすこと。熱機関などにより発電機を回転させ、電力を発生させること。火力水力原子力風力潮力地熱などが利用される。
[類語]電気陽電気正電気陰電気負電気静電気電磁気電場電界電流直流交流整流電圧電気抵抗送電配電感電通電電動電源電荷荷電帯電充電蓄電放電

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改訂新版 世界大百科事典 「発電」の意味・わかりやすい解説

発電 (はつでん)
power generating

力学的エネルギー,熱エネルギー,核エネルギー,その他のエネルギーを電気エネルギーに変換すること。大規模な発電は現在のところ水車や蒸気タービンなどの原動機を利用して発電機を回転して行うものが主体であって,水力発電火力発電原子力発電などと呼ばれる。水力発電は水の高低差を利用して水車によって発電機を回転させるもの,火力発電は石炭,石油,天然ガス(LNG)などの化石燃料ボイラーで燃やして得られる高温・高圧の蒸気でタービン発電機を回転させるもの(厳密にはこれは汽力発電といい内燃機関などを利用する他の火力発電と区別している),原子力発電は火力発電の化石燃料の代りに核燃料を使用し核分裂反応の熱エネルギーで蒸気を発生してタービン発電機を回転させるものである。

 日本において電気が全エネルギー消費量の中に占める割合はおおよそ40%で今後もそのシェアは増す傾向にある。1995年度における発電電力量は全国で約8700億kWhであって,内訳は原子力33%,LNG火力22%,石油火力18%,石炭火力13%,水力10%,その他となっている。歴史的にみると,明治,大正からつねに水力発電が主体で火力発電は少なく,いわゆる水主火従であったが,昭和30年代に入って安価な石油を燃料とした大容量,高効率の石油火力発電所が盛んに建設されて高度経済成長期の電力供給を担うようになり,1963年になって火力発電が水力発電を上回り火主水従時代に入った。しかし,これもあまり長く続かず73年の石油危機以降は状況が一変した。電気は国の基礎エネルギーであり低廉で安定した供給を確保しなければならない。石油危機以降は,安定供給の確保,経済性の観点から,既設石油火力のLNG火力,石炭火力への転換,大容量LNG,石炭専焼火力の建設が積極的に行われ,エネルギー源の多様化が図られている。LNG火力は硫黄分を含まないクリーンなエネルギー源として,都市周辺に有利である特徴を持つ。また,最近では,ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせることにより,より高い熱効率が得られるコンバインドサイクル発電の建設が積極的に行われている。コンバインドサイクル発電は,比較的小型のガスタービンと蒸気タービンの複数構成となるため,起動停止に要する時間が短く,出力調整能力に優れているという特徴を併せ持つ。石炭火力は,石炭が石油に比べて偏在していないこと,資源量も豊富なことから,今後とも開発が続けられるであろうが,石炭のもつ環境問題や輸送面での欠点を克服すべく石炭ガス化等の技術開発も重要である。原子力発電は昭和40年代に入って出現したが,少量で莫大なエネルギー源となる核燃料の特性から準国産エネルギーとみなされ,CO2の発生もなく,また発電コストも安いこともあり,その後急速に拡大し,今後とも発電の中核的役割を担うこととなろう。水力発電は開発地点が中小規模化してきているが,国産エネルギーとして今後も着実に開発されよう。揚水式発電はピーク供給力として必要な適当量の開発が行われよう。このようにして将来の発電は原子力が主体となり,これにLNG,石炭,水力が加わり,石油は減少するものと思われる。

ガスタービン発電は火力発電の一種で数万kWまでのものがピーク負荷用や非常用として使われる。内燃機関発電はディーゼル発電の例のように非常用予備,離島,移動用などの分野で気軽に使用され,数千kW以下のものである。

 風力発電は,風車によって発電機を回転させるもので,ほぼ実用化の域にあり,風状のよい場所から導入が進められている。

 地熱発電は地下の高温蒸気を取り出し蒸気タービンを動かすもので,地熱の賦存地域に限られるが,火山国である日本では石油に代わるエネルギーとして開発が進められている。波力発電は小規模であるが,一部で実施されている。潮力発電はフランスで実用されているが日本にはない。太陽熱発電は技術開発されたものの日本では商業化にはいたらなかった。MHD発電,熱電子発電,熱電気発電,温度差発電などいずれも研究開発中か小規模特殊用途である。

 電池は,ナトリウム-硫黄電池のように新型の電池の研究が行われている。小容量であるが,需要地近傍に分散配置できる利点があるので,電力貯蔵機能に期待している。燃料電池は燃料と酸化剤を連続的に供給することによって発電を継続できる直接発電装置であり,リン酸型燃料電池はビル等への分散配置用として,また,溶融炭酸塩型や固体電解質型はガスタービンと組み合わせた大規模電源用として研究が行われている。また太陽電池半導体素子に太陽光をあてて直接電気をとりだす装置であり,電力用としては小規模のものが使われている。その他,小型なものでは電灯光でも作動する電卓等に用いられている。
火力発電 →原子力発電 →水力発電 →電力
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百科事典マイペディア 「発電」の意味・わかりやすい解説

発電【はつでん】

機械的エネルギー,熱エネルギーなどを電気的エネルギーに変換すること。日本では従来水力発電が主であったが,火力発電の効率が高まって水力と交替するようになり,さらに現在は原子力発電の比重が大きくなった。他に地熱発電波力発電風力発電,熱併給発電(コジェネレーション)などが局地的・実験的に行われている。フランスでは潮力発電が実用化され,各国でMHD発電の研究が進められている。熱電子発電熱電発電などの直接発電の研究も行われ,日本では燃料電池発電が実証実験中で実用化が有望。また太陽熱発電は実用化を断念したが,太陽電池による太陽光発電は実証運転と一部実用化がなされた。1997年6月に施行された〈新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法〉(新エネルギー法)では,太陽光,燃料電池といった新しいエネルギーの普及を目的に,消費者や事業者に新エネルギー導入に努力することを促している。また,政府の新エネルギーの導入目標では2010年度に太陽光発電460万kW,風力発電15万kWなどとしている。一方1998年,温暖化防止対策を折り込んだ長期エネルギー需給見通しが改訂され,2010年に炭酸ガス排出量を1990年水準に抑えることが最重要課題となった。地球温暖化防止の流れは紆余曲折を経ながらも世界的に取り組まなければならないという合意は形成されつつあり,こうした流れのなかで,2000年代に原子力発電が見直され,新プラントの建設や導入計画が世界的に進められ〈原発ルネッサンス〉ともいわれる現象が起こった。しかし,2011年3月に起こった福島第一原発の大事故は,世界に衝撃を与え,各国のエネルギー政策は根本的な見直しを迫られている。原子力発電の再開を打ち出していたドイツは,福島第一原発事故を受けて,脱原発依存政策に再転換した。
→関連項目電気事業電源電源三法

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