硬性下疳(読み)コウセイゲカン(その他表記)hard chancre

デジタル大辞泉 「硬性下疳」の意味・読み・例文・類語

こうせい‐げかん〔カウセイ‐〕【硬性下×疳】

梅毒の第1期に、主に陰部豆粒ほどの硬いしこりができ、つぶれて生じる潰瘍かいよう。痛みはない。

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精選版 日本国語大辞典 「硬性下疳」の意味・読み・例文・類語

こうせい‐げかんカウセイ‥【硬性下疳】

  1. 〘 名詞 〙 梅毒の第一期に見られる発疹。梅毒スピロヘータの感染により約三週間後に局部に発生する。〔模範新語通語大辞典(1919)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「硬性下疳」の意味・わかりやすい解説

硬性下疳 (こうせいげかん)
hard chancre

第1期梅毒の症状梅毒にかかっている人との性交後約3週間で,男子では陰茎など,女子では陰唇や腟壁など,病原体である梅毒トレポネマの侵入した部位に初期硬結といわれるダイズの大きさのしこりが発生するが,まもなく表面がくずれて潰瘍となったのが硬性下疳である。普通は1個であるが,ときに2個以上となり,痛みもかゆみも生じない。性行為により陰部以外の口唇乳房などにも発生する。硬性下疳の表面をこすって採取した分泌液を暗視野装置のついた顕微鏡で観察したり,パーカーインキ染色した標本を顕微鏡で見ると梅毒トレポネマが確認できる。硬性下疳が発生してから1~3週間後に梅毒血清反応陽性となる。さらに片側または両側鼠径部(そけいぶ)リンパ節が痛みもなくはれてくる。硬性下疳は放置すると数週間後に自然に消失していくが,梅毒の感染はさらに進行して,感染後3ヵ月以後は第2期梅毒となる。
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百科事典マイペディア 「硬性下疳」の意味・わかりやすい解説

硬性下疳【こうせいげかん】

梅毒の初期に主として外陰部に生じる潰瘍(かいよう)。感染後3週間前後に発生する初期硬結の中心部が潰瘍に陥ったもの。多くは境界が明らかで,周辺部に硬結を残す。大きさは米粒大〜エンドウ豆大まで。一般に痛みを訴えない。分泌物からトレポネーマという病原スピロヘータを証明できる。軟性下疳と合併するときは混合下疳と呼ばれる。
→関連項目下疳

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「硬性下疳」の意味・わかりやすい解説

硬性下疳
こうせいげかん

第1期梅毒の症状で、感染後3週ごろ男子では陰茎亀頭(きとう)など、女子では陰唇(いんしん)、腟(ちつ)壁などに硬いしこりができたのち、その表面が浅い潰瘍(かいよう)となるものをいう。そのほか、口唇、肛門(こうもん)、乳房などにもできることがある。

[岡本昭二]

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世界大百科事典(旧版)内の硬性下疳の言及

【性病】より

… 第1期の症状として,感染後3週間ごろに,男性では陰茎亀頭や包皮内板などに,女性では陰唇や腟壁などに初期硬結を生じる。さらに表面が潰瘍となるが(硬性下疳),痛みもかゆみもない。潰瘍の表面をこすって刺激したあとに出てくる分泌液には多数の梅毒トレポネマが含まれていて,梅毒の感染源となる。…

【梅毒】より

…自覚症状はなく,まもなく表面が潰瘍となる。これを硬性下疳(こうせいげかん)hard chancreという。普通は1個できるのが原則であるが,ときに2個以上発生する。…

※「硬性下疳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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