出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
小説家。大阪生まれ。少年のころから飛行機や器械類や絵画に興味をもち、関西(かんせい)学院普通部卒業後、上京、佐藤春夫の門をたたく。1923年(大正12)、処女小品集『一千一秒物語』を出版。続く『星を売る店』(1926)、『第三半球物語』(1927)、『天体嗜好(しこう)症』(1928)などとともに、天体や科学文明の利器を題材にした超現実派的な異色の作風が、モダニズムの最先端として注目を浴びたが、まもなくアルコールおよびニコチン中毒のため創作不能となり、貧窮、無頼の生活を続けた。第二次世界大戦後、『弥勒(みろく)』(1946)、『ヰタ・マキニカリス』(1948)などを出版して、創作を再開。自伝的、哲学的な傾向を強めると同時に、少年愛のテーマが前面に出てきた。68年(昭和43)、従来の性美学を否定して「A感覚」(アヌス感覚)の優位を唱えた『少年愛の美学』(1968)や『僕の“ユリーカ”』『東京遁走(とんそう)曲』をほぼ同時に出して、タルホブームがおこった。作品、生活ともに、近代日本文学史上、希有(けう)の存在である。
[曾根博義]
『『稲垣足穂作品集』全九巻(1974~75・潮出版社)』▽『白川正芳著『稲垣足穂』(1976・冬樹社)』
プランクの量子定数の発見とともに大阪に生まれ,少年期の飛行機幻想をそのまま70余年の孤高の日々にもちこんだ異色作家。10代後半に構想をまとめたという代表作《一千一秒物語》(1923)や,日本文学大賞受賞作の《少年愛の美学》(1968)にみられる〈人間をオブジェとして扱う手法〉は,タルホ・コスモロジーと言われる宇宙論的郷愁とあいまって,全作品に共通する特徴である。都市の幾何学,飛行精神,人工模型,英国ダンディズム,男色趣味,謡曲の幻想世界,物理学的審美主義,ヒンドゥーイズム,キネティックな手法,月光感覚などを駆使した作品群は,世界文芸史上にも類がない。〈ボクの読者は50人でよい〉という信条を生涯にわたって貫き通した。
執筆者:松岡 正剛
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