デジタル大辞泉
「結綿」の意味・読み・例文・類語
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ゆい‐わた ゆひ‥【結綿】
〘名〙
① 数枚重ねた
真綿の中央を結んでたばねたもの。祝い物に用いる。
※
御伽草子・唐糸草子(室町末)「御台さまより、金千両富士のゆいわた一千把」
② 紋所の名。①を図案化したもの。結綿、三つ寄せ結綿などがある。
※談義本・根無草(1763‐69)前「皆能
(よい)器量とゆひ綿
(ワタ)の、紋を見てさへ心動
(うごく)者多し」
③ 日本髪の髪型の一つ。島田のまげの部分を幅広く結い、その中央を絞縮緬(しぼりちりめん)で結んだもの。未婚女性の髪型とされる。まげの形が、①の形に似ているところから名づけられたもの。ゆいわた島田。
※
洒落本・客衆肝照子(1786)きめつきん「へんうにかづたやの小きつが出る。あいつらもゆひわたや」
④ 日本建築で、大瓶束
(だいへいづか)の下で
虹梁(こうりょう)をはさむ部分。また、
懸魚(げぎょ)、大瓶束、勾欄、親柱などで①のような形に造った部分。
いい‐わた いひ‥【結綿】
〘名〙 (「ゆいわた」の変化した語) 日本髪の
一種。
幕末から
明治一〇年代にかけて
流行。現在は、
正月の日本髪として用いられることが多い。島田に
手絡(てがら)をかけ、
高島田の
両耳をさげ、中央を高くし、これに懸綿をかけて結んだもの。懸綿は、若い女性は
赤色の太いもの、
中年の女性は
淡色のそれぞれ鹿の子絞りを用いた。主として年頃の女性の
結髪。
※吾妻余波(1885)〈岡本昆石編〉一「いいわた。幕府時代に流行
(はや)りし風なり。今も廿歳以上の者は此風に
結ふ」
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結綿
ゆいわた
結婚前の女性が結う日本髪の一種。江戸時代後期から始り,島田髷 (まげ) に懸綿 (かけわた) を掛けたもの。この懸綿は幅3寸 (約 10cm) ,長さ2尺5寸 (約 82cm) 程度で,芯に綿を入れてくけた,赤や桃色など美しい鹿の子絞りの帯状のもの。この結綿は当時の若い女性の和装を一層引立てたので広く流行した。鬢 (びん) や髱 (たぼ) は島田髷ほど長く出さないで結うのが特色。日本髪としては現在でも桃割れとともに多く見られる。
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結綿
ゆいわた
結綿島田髷(まげ)の略称で、嫁入り前の若い女性たちが結んだ髪形である。桃色、緋(ひ)色の鹿(か)の子の手絡(てがら)を島田髷の上に掛けた髪形で、その始まりは明治に入ってからである。この髪は高島田と違って、鬢(びん)や髱(たぼ)をあまり張り出さないように結い上げる。つまり、あまり張り出さないことによって、手絡の美しさが一段と映えるのである。今日、新日本髪となってからも結綿が喜ばれるのは、その美しさに起因している。
[遠藤 武]
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結綿【ゆいわた】
幕末〜明治の女性の髪形。島田髷(まげ)の系統で,髷の腰に鹿の子をかけたもの。幕末のつぶし島田の髻(もとどり)に緋縮緬(ひぢりめん)をかけたのが変化したもので,明治以降若い娘,ことに下町娘に愛用された。名称は真綿を結んだ結綿の形に似ているのに由来する。
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世界大百科事典(旧版)内の結綿の言及
【髪形】より
…幼児のおもに男子の髪形に,髪を剃り落とし,部分的に髪を残した髪形が近世より流行し,芥子坊(けしぼう),ごんべ(権兵衛),ぼんのくぼ(盆の窪)などの名がある。江戸後期から明治にかけて,女子は少女期になると,髷をつけ,おたばこ盆,[桃割](ももわれ),結綿(ゆいわた),島田と,嫁入前まで年齢に応じて結い分けられていた。【橋本 澄子】
[明治以降]
1871年(明治4)の〈散髪脱刀令〉は,従来の一般男子の[丁髷](ちよんまげ)が外国と対等に付合いをする支障になるからという,外交上の目的から発せられたが,一般には〈文明開化のシンボル〉として受け取られていた。…
※「結綿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」