『大日経(だいにちきょう)』に説かれる仏の世界で、それを図示したのが胎蔵界曼荼羅(まんだら)(詳しくは大悲胎蔵生(だいひたいぞうしょう)曼荼羅Mahākaru ágarbha-sabhava-maala)である。毘盧遮那(びるしゃな)仏(大日如来(にょらい))の一切(いっさい)の衆生(しゅじょう)に対する慈悲(大悲)によって、その悟りの内奥(胎蔵)から生起した(生)諸仏・諸尊の世界で、毘盧遮那仏が、その無数劫(こう)の過去世に蓄積した経験を現世に生きる衆生に対応した形に変化させ(神変)、その上に付加して(加持(かじ))、衆生に仏の真実の世界の内実(荘厳(しょうごん))としての意味づけを与えた、その総体(マンダラ)である。
[津田眞一]
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